文献詳細
今月の主題 大腸腫瘍の病理診断の課題と将来展望
序説
文献概要
最近,学生講義の際に“腫瘍とは?”の質問を投げかける都合上,あらためていくつかの教科書を紐解きまとめる機会があった.それによると,腫瘍とは“細胞が生体内の制御に反して自律的に過剰に増殖することによってできる組織塊”となる.そして,悪性腫瘍と良性腫瘍に大別されることは読者諸兄は当然ご存じのことと考えるが,悪性腫瘍とは“周囲に浸潤・転移を起こす腫瘍”で,良性腫瘍とは“自律的に増殖できる環境をつくる能力がなく発生した場所でのみ増殖する腫瘍”と定義されており,それを個々の病変で判断しているのが病理組織診断である.
内視鏡医にとって病理組織診断は,自分の内視鏡診断への確証や時に反省を得るものであると同時に,臨床医としては治療が適切に行われたのか否かを患者に説明し,経過観察も含めた今後の治療方針あるいは終診の判断を行ううえでも大変重要な情報となる.臨床医が行うのはmacroでの診断であり病理医が行うのはmicroでの診断なので,臨床医は病理組織診断に反論する術を持たないし,必然的に病理組織診断は臨床医にとって絶対的な診断と考えられている.
内視鏡医にとって病理組織診断は,自分の内視鏡診断への確証や時に反省を得るものであると同時に,臨床医としては治療が適切に行われたのか否かを患者に説明し,経過観察も含めた今後の治療方針あるいは終診の判断を行ううえでも大変重要な情報となる.臨床医が行うのはmacroでの診断であり病理医が行うのはmicroでの診断なので,臨床医は病理組織診断に反論する術を持たないし,必然的に病理組織診断は臨床医にとって絶対的な診断と考えられている.
参考文献
1)大腸腺腫と癌(2).胃と腸 24:239-307, 1989
2)早期大腸癌の病理診断の諸問題—小病変の診断を中心に.胃と腸 27:631-689, 1992
3)早期大腸癌の組織診断—諸問題は解決されたか.胃と腸 33:1433-1509, 1998
掲載誌情報