文献詳細
文献概要
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて 症例アトラス 感染性食道炎
サイトメガロウイルス食道炎
著者: 髙雄暁成1 藤原崇2 堀口慎一郎3 前田有紀4 小泉浩一1 今村顕史5 門馬久美子4
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 2藤原胃腸科内科 3がん・感染症センター都立駒込病院病理科 4がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 5がん・感染症センター都立駒込病院感染症科
ページ範囲:P.1605 - P.1608
文献購入ページに移動サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)はヘルペスウイルス科に属するウイルスで,通常は幼少期に感染し,初感染後は不顕性感染の経過をたどり,多くの場合は潜伏感染の状態を維持する.しかし,悪性腫瘍,ステロイド使用者,HIV(human immunodeficiency virus)感染症,骨髄移植後などの免疫抑制状態の患者においては,潜伏感染の再活性化が引き起こされる.まれに健常人での発症もみられる1).食道,胃,大腸などの消化管にびらんや潰瘍性の病変を来す他,肺・網膜・中枢神経にも病変を来す.食道炎は主にCD4(cluster of differentiation)値が100/μl以下に低下したHIV感染者で好発する.
近年,先進国において治療法・治療薬の進歩に伴いHIV感染症のマネージメントが向上している.抗HIV治療薬の副作用が強い時期は治療の開始が遅かったが,現在はCD4値にかかわらずに治療を開始することが推奨されている.米国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services;DHHS)のガイドラインでは,2017年よりHIVの診断と同時に抗レトロウイルス療法(anti-retroviral therapy;ART)開始が推奨されており,世界的には感染が判明次第,可及的速やかに治療を開始することが推奨されている.
参考文献
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