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文献概要
今月の主題 上部消化管感染症—最近の話題を含めて 症例アトラス 感染性胃炎
胃梅毒
著者: 堺勇二1 池田憲治1 上野景子1 小野広幸1 前田和弘2 田邉寛3 岩下明德3
所属機関: 1親愛ステーションクリニック 2親愛天神クリニック 3福岡大学筑紫病院病理部
ページ範囲:P.1628 - P.1631
文献購入ページに移動梅毒は代表的な性感染症の一つであり,多彩な皮膚病変がみられるが,まれながら消化管病変を生じることがある.消化管では胃に最も多いとされ1),消化管梅毒の本邦文献でみると,過去50年間では胃197例,大腸34例(31例が直腸),小腸3例,などの報告がある.
梅毒は主に性的接触によるT. pallidum(Treponema pallidum)の陰部などへの感染から発症する.10〜90日の潜伏期を経て,感染局所に初期硬結,硬性下疳などの一次病変を形成する(第1期).その後血行性に全身に撒布され,ばら疹などの多彩な皮膚病変や臓器梅毒などの二次病変を生じる(第2期).以後は潜伏梅毒を経て慢性に経過し,ごく一部は年余を経て第3期梅毒(晩期梅毒:心血管梅毒,ゴム腫など)に進展する2).胃梅毒の報告例の多くは第2期のものであり,胃梅毒は,血行性に全身に撒布された菌体とその代謝産物に対する血管アレルギーにより,梅毒性皮疹と同様の機序で形成された胃粘膜疹と推測されている3).
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