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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻4号

2019年04月発行

文献概要

今月の主題 知っておきたい小腸疾患 主題

小腸の非腫瘍性疾患—サイトメガロウイルス(CMV)小腸炎の臨床像と内視鏡像

著者: 佐野弘治1 大川清孝1 中内脩介1 小野洋嗣1 宮野正人1 川村悦史1 上田渉1 青木哲哉1 山口誓子1 倉井修1 大庭宏子2 末包剛久3 平田直人3 石井真美4 福島裕子4 井上健4

所属機関: 1大阪市立十三市民病院消化器内科 2大阪市立弘済院附属病院内科 3大阪市立総合医療センター消化器内科 4大阪市立総合医療センター病理部

ページ範囲:P.505 - P.514

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要旨●自験サイトメガロウイルス(CMV)小腸炎7例の臨床像と内視鏡像についてCMV大腸炎53例と比較して検討した.罹患部位は空腸1例,回腸6例であった.CMV小腸炎は,CMV大腸炎に比べて絶対的免疫不全の割合が高い傾向がみられた.CMV小腸炎の臨床症状は出血と腹痛が多く,CMV大腸炎では出血と下痢が多かった.大量出血と穿孔の割合は,CMV大腸炎に比べてCMV小腸炎が多い傾向がみられた.CMV小腸炎の緊急手術率は43%であり,CMV大腸炎の9%に比べて高率であった.CMV小腸病変は,輪状傾向潰瘍と不整形潰瘍が多く,CMV大腸病変で多い類円形潰瘍は少なかった.CMV小腸炎と鑑別が必要な疾患として,腸結核,NSAIDs起因性腸炎,血管炎,腸管Behçet病などがある.

参考文献

1)大川清孝.サイトメガロウイルス腸炎.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp 154-159, 2012
2)仲瀬裕志.活動性潰瘍性大腸炎におけるサイトメガロウイルス感染の診断と治療—基礎ならびに臨床研究からの知見.日消化管会誌 2:5-13, 2018
3)内本和晃,藤井久男,小山文一,他.抗ウイルス剤にて治療後に再燃したサイトメガロウイルス回腸炎の1例.Gastroenterol Endosc 49:2721-2727, 2007
4)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.感染性腸炎(ウイルス感染)—サイトメガロウイルス(CMV)小腸炎.Intestine 19:156-161, 2015
5)山村喜之,梅本一史,鈴木友啓,他.ステロイド治療中に小腸穿孔をきたしたサイトメガロウイルス腸炎の1例.日外科系連会誌 40:747-752, 2015
6)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.サイトメガロウイルス腸炎と潰瘍性大腸炎に合併するサイトメガロウイルス腸炎.日本大腸肛門病会誌 71:470-481, 2018
7)久能宣昭,蔵原晃一,八板弘樹,他.サイトメガロウイルス腸炎の治療.Intestine 19:527-531, 2015
8)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.サイトメガロウイルス腸炎.Intestine 18:391-396, 2014
9)大川清孝.腸結核.大川清孝,清水誠治(編).感染性腸炎A to Z,第2版.医学書院,pp 114-119, 2012
10)菅野伸洋,湯川寛夫,嶋田裕子,他.小腸穿孔をきたしたサイトメガロウイルス陽性小児Henoch-Schönlein紫斑病の1例.日臨外会誌 72:379-383, 2011
11)大川清孝,佐野弘治,末包剛久,他.腸管Behçet病・単純性潰瘍と他の炎症性腸疾患との鑑別診断:臨床の立場から.胃と腸 46:1032-1043, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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