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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻6号

2019年05月発行

今月の主題 隆起型早期大腸癌の病態と診断

主題

PG typeとNPG type早期大腸癌の相違—発育・進展様式を含めて

著者: 池上雅博1 廣岡信一1 中村麻予1 会澤大介1 深澤寧1 村上慶四郎1 牧島玲1 木村寛子1 保坂倫子1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学病理学講座

ページ範囲:P.810 - P.818

文献概要

要旨●早期大腸癌を,その割面形態からPG(polypoid growth)typeとNPG(non-polypoid growth)typeの2種類に分類し,それぞれの病変の特徴について明らかにするとともに,大腸癌の発育・進展について検討した.NPGはPGに比較して少ない病変であった.PGでは腺腫併存病変が多かった.NPGはPGと比較して小さいうちから粘膜下層(SM)に高度に浸潤する病変であった.また,粘膜(M)における増殖細胞の分布やDNA定量の結果からも,PGとNPGは生物学的に異なる病変と考えられた.大腸SM癌をPG粘膜下層浸潤癌(PG SM),NPG粘膜下層浸潤癌(NPG SM)別に分け,特にNPG SMを粘膜内病変保存例と非保存例に分類し解析したところ,大腸SM癌のうち確実に隆起型病変(PG M)に由来するものが約64%と多くを占めた.表面型病変(NPG M)から由来したと考えられるSM癌の頻度は確実な値としては18%程度と少数であり,多くとも約36%以下であると考えられた.20mm以下進行大腸癌の解析から,20mm以下進行癌を形成する病変は,NPG SM癌由来と考えられるものが89%と多く,少なくとも小さな(20mm以下)進行癌の形成にはNPG病変,言い換えると表面型M癌が深く関与していると考えられた.

参考文献

1)Ikegami M. A pathological study on colorectal cancer. From de novo carcinoma to advanced carcinoma. Acta Pathol Jpn 37:21-37, 1987
2)Morson BC. Some peculiarities in the histology of intestinal polyps. Dis Colon Rectum 5:337-344, 1962
3)Spratt JS Jr, Ackerman LV, Moyer CA. Relationship of polyps of the colon to colonic cancer. Ann Surg 148:682-696, 1958
4)池上雅博.PG,NPG.胃と腸 47:822,2012
5)小林広幸,渕上忠彦,平川雅彦,他.表面陥凹型大腸腫瘍における良・悪性の鑑別.早期大腸癌 1:183-191, 1997

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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