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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻6号

2019年05月発行

文献概要

今月の主題 隆起型早期大腸癌の病態と診断 主題

PG type隆起型早期大腸癌の定義と判定基準—NPG typeとの相違も含めて—内視鏡の立場から

著者: 山野泰穂1 久保俊之1 三橋慧1 須藤豪太1 柴田泰洋1 仲瀬裕志1

所属機関: 1札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ページ範囲:P.819 - P.831

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要旨●内視鏡診断による大腸腫瘍のPG/NPG typeの鑑別の可能性について検討した.当施設で経験した拡大内視鏡観察後に切除された病変のうち実体顕微鏡観察にて標本の切り出しなどを行った大腸腺腫・早期癌172病変(大腸鋸歯状病変を含む)のうち,隆起型,表面隆起型,陥凹型の各病変を抽出し,拡大内視鏡所見の特徴と病理組織像におけるPG/NPG typeの対比を行った.その結果,腫瘍性病変と周囲正常粘膜との境界部分においてI型pitの介在を指摘することがPG/NPG typeの鑑別のポイントと考えられたが,症例によっては病理割面であっても厳密に分類できない不確定要素が含まれていることが示唆された.また,translational researchを通じて大腸腫瘍の発育進展には多様性があることが証明されてきた現在において,臨床的にPG/NPG typeを検討することの意義が薄れていると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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