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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻6号

2019年05月発行

文献概要

今月の主題 隆起型早期大腸癌の病態と診断 主題

PG type隆起型早期大腸癌の注腸X線診断

著者: 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 冨野泰弘1 山里哲郎1 依光展和1 園田隆賀1 大島奈々1 岸大輔1 清水孝悦1 橋本真紀子1 中河原亜希子1 並木伸2 長濱正亞3 山村彰彦4 細井董三1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2都立多摩総合医療センター消化器内科 3昭和大学藤が丘病院消化器内科 4東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.833 - P.845

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要旨●PG type隆起型早期大腸癌に対する注腸X線造影検査の深達度診断について検討した.まず肉眼形態の相違から,分葉型と単結節型に分類したところ,腺腫併存率は,それぞれ83.5%,59.3%であった.分葉型では,分葉間の開大/陥凹の有無によって,pT1b(SM≧1,000μm)は,88.9%,7.6%であった.単結節型では,表面平滑,不整に分けると,pT1b(SM≧1,000μm)は,5.1%,32.8%であった.側面像の検討では,腫瘍径が10〜20mmで,かつSM≧2,000μmの28例中20例(71.4%)に側面変形を認めた.側面変形は,硬化所見を示唆する直線化と伸展不良を示唆する陥凹変形を共に認める場合のみ,SM深部浸潤に伴う側面変形ありと診断した.隆起型早期大腸癌に対する注腸X線造影撮影法は,陥凹の有無や分葉間の開大の有無を明確にするために,バリウムを頂部まで流しバリウム量を変えて正面像を撮影し,側面像は体位変換を繰り返し,再現性のある変形であるかどうかをリアルタイムに確認して撮影することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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