icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻6号

2019年05月発行

文献概要

今月の主題 隆起型早期大腸癌の病態と診断 主題研究

浸潤形式からみたPG type隆起型早期大腸癌—0-Is,Isp病変の特徴について

著者: 原田英嗣1 松下弘雄1 吉川健二郎1 高木亮1 田中義人1 加藤文一朗1 吉田優子1 佐々木真1 橋本大志1 東海林琢男2 榎本克彦2 青木敬則34 津田一範5 山野泰穂6

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2秋田赤十字病院病理診断科 3手稲渓仁会病院消化器病センター 4札幌医科大学医学部分子生物学講座 5神戸赤十字病院消化器内科 6札幌医科大学医学部消化器内科学講座

ページ範囲:P.898 - P.912

文献購入ページに移動
要旨●隆起型早期大腸癌(T1癌)を粘膜筋板残存の程度,粘膜内癌部または推定粘膜内癌部分の有無から浸潤形式を4群に分類し,その臨床・内視鏡・病理学的特徴について検討した.従来,隆起型早期大腸癌の深達度の正診率は表面型早期大腸癌と比較して低いと言われてきたが,今回の検討でも深達度T1の隆起型早期大腸癌の深達度診断の正診率は表面型と比較して低く,特に粘膜内癌部が残存し,表層にDR(desmoplastic reaction)が露出していない病変において低い傾向を認めた.隆起型早期大腸癌の正診率の向上には拡大内視鏡を用いたpit pattern診断のみならず,通常内視鏡所見,特に緊満感に留意した評価も重要である.また必要に応じて超音波内視鏡検査や消化管X線造影検査など,他のmodalityでの検索も積極的に行う必要があると考えられた.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,第9版.金原出版,2018
2)田村智,宮崎純一,矢野哲也,他.大腸sm癌の浸潤度と浸潤様式から見た内視鏡的治療の限界に関する検討.Gastroenterol Endosc 41:933-940,1999
3)工藤進英,倉橋利徳,樫田博史,他,大腸腫瘍に対する拡大内視鏡観察と深達度診断—箱根シンポジウムにおけるV型亜分類の合意.胃と腸 39:747-752, 2004
4)鶴田修,豊永純,池田英雄,他.pit patternからみた表面陥凹型大腸腫瘍の深達度診断.Ther Res 17:146-148, 1996
5)唐原健,鶴田修,河野弘志,他.隆起型早期大腸癌の深達度診断.胃と腸 42:809-815,2007
6)鶴田修,河野弘志,辻雄一郎,他.早期大腸癌深達度診断における拡大内視鏡と超音波内視鏡の役割.胃と腸 36:791-799, 2001
7)藤井隆広,永田和弘,斎藤豊,他.大腸拡大内視鏡診断はどこまで病理診断に近づいたか—大腸上皮性腫瘍を対象として.胃と腸 34:1653-1664,1999
8)林俊壱,味岡洋一,馬場靖幸,他.Ip,Isp型早期大腸癌の深達度診断—ピオクタニン染色による拡大内視鏡所見の解析を中心に.胃と腸 37:1583-1600, 2002
9)Shimoda T, Ikegami M, Fujisaki J, et al. Early colorectal carcinoma with special reference to its development de novo. Cancer 64:1138-1146, 1989
10)池上雅博,下田忠和,小牧稔之,他.大腸sm癌の肉眼的特徴とその診断.胃と腸 29:1237-1247, 1994
11)Ikegami M. A pathological study on colorectal cancer. From de novo carcinoma to advanced carcinoma. Acta Pathol Jpn 37:21-37, 1987
12)池上雅博,三戸部慈実,小池裕人,他.大腸癌の発生・発育・進展に関する病理学的解析.胃と腸 43:1947-1955, 2008
13)味岡洋一,渡辺英伸,小林正明,他.大腸sm癌の細分類(浸潤度分類)とその問題点.胃と腸 29:1117-1125, 1994
14)高木亮,山野泰穂.緊満感.胃と腸 52:631,2017
15)河野弘志,鶴田修.緊満感.胃と腸 47:706,2012
16)今井靖,工藤進英,鶴田修,他.座談会—V型 pit pattern診断の臨床的意義と問題点.早期大腸癌5:595-613,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら