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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻7号

2019年06月発行

文献概要

今月の主題 A型胃炎—最新の知見 主題

A型胃炎の画像所見—自己免疫性胃炎の胃X線造影像:多施設後ろ向き研究

著者: 中島滋美123 青木利佳4 八板弘樹5 蔵原晃一5 山本和雄3 伊藤慎芳6 入口陽介7 安田貢8 山道信毅9 春間賢101112

所属機関: 1滋賀医科大学地域医療教育研究拠点 2JCHO滋賀病院総合診療科 3JCHO滋賀病院消化器内科 4とくしま未来健康づくり機構徳島県総合健診センター 5松山赤十字病院胃腸センター 6四谷メディカルキューブ消化器内科 7東京都がん検診センター消化器内科 8KKR高松病院人間ドックセンター 9東京大学医学部附属病院予防医学センター 10川崎医療福祉大学 11川崎医科大学 12淳風会医療診療セクター

ページ範囲:P.983 - P.997

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要旨●自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis ; AIG)の胃X線造影像に関して多施設後ろ向き研究を実施した.対象は2000年1月〜2018年9月末に胃X線造影検査を受けていたAIG患者とした.診断は内視鏡所見または病理組織学的な胃体部萎縮と自己抗体陽性を必須とした.患者は22例(女性18例,男性4例),平均年齢は61.7歳であった.AIG初期症例では胃底腺領域は顆粒様粗糙型の胃粘膜所見を呈していた.萎縮進行21例では,全例でサメ肌様,平滑に近い中間型またはすりガラス様粘膜像を呈し,18例で胃体部ひだが消失していた.H. pylori感染とAIGのX線造影所見に関係はなかった.AIGの50%にポリープまたは隆起性病変を合併していた.

参考文献

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12)Hsing AW, Hansson LE, McLaughlin JK, et al. Pernicious anemia and subsequent cancer:A population-based cohort study. Cancer 71:745-750, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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