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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻9号

2019年08月発行

文献概要

今月の主題 消化管X線造影検査のすべて—撮影手技の実際と読影のポイント 主題

十二指腸X線造影—低緊張性十二指腸造影を中心に

著者: 斉藤裕輔1 垂石正樹1 小林裕1 池田淳平1 寺澤賢1 杉山隆治1 助川隆士1 稲場勇平1 富永素矢1 小澤賢一郎1 藤谷幹浩2

所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター 2旭川医科大学内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学分野

ページ範囲:P.1243 - P.1252

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要旨●十二指腸X線造影は十二指腸管内の病変の描出,および隣接臓器の病変と十二指腸の関係を評価する目的として施行される.低緊張性十二指腸造影(hypotonic duodenography)は鎮痙剤を使用して二重造影像を撮影する方法で,有管法と無管法(簡易法)の2つの方法がある.有管法はゾンデを十二指腸まで挿入し,鎮痙剤を投与して腸管の緊張を取り除いた後に造影剤と空気を直接注入して二重造影像を撮影する方法で,造影剤や空気量の調節が自由にでき,微細所見の描出にも優れており十二指腸の精密検査に適している.先端バルーン付き十二指腸ゾンデを十二指腸球部に留置後,抗コリン薬を静脈投与しバリウムを注入して充盈像の撮影を行う.その後,腹臥位または背臥位第一斜位で,空気を300〜400ml程度ゆっくりと注入し,十二指腸管を十分伸展させて撮影する.二重造影では十二指腸乳頭部の正面像と側面像の描出を心掛ける.腹臥位第一斜位,腹臥位正面,腹臥位第二斜位,背臥位正面,背臥位第一斜位などの体位で十二指腸下行脚から水平脚にかけて二重造影像を撮影する.読影では,①十二指腸の形状および辺縁の変化を読影する,②Kerckring皺襞の状態および十二指腸乳頭の位置・形状を把握する,③粘膜面の異常所見の有無を読影する,さらに④空気や体位を変えた複数枚の写真で評価する,ことが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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