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文献詳細

雑誌文献

胃と腸54巻9号

2019年08月発行

文献概要

今月の主題 消化管X線造影検査のすべて—撮影手技の実際と読影のポイント 主題

大腸:注腸X線造影—炎症性疾患を中心に

著者: 清水誠治1 小木曽聖1 古賀香代子1 池田京平1 上島浩一1 横溝千尋1 高島英隆1 富岡秀夫1

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲:P.1283 - P.1294

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要旨●注腸X線造影検査による炎症性腸疾患の診断について,特に読影の観点から解説した.注腸X線造影検査が実施される機会は年々減少しており,炎症性疾患も内視鏡検査で診断される機会が多い.しかし,視点が内視鏡検査では管腔内,注腸X線造影検査では体外にある点で根本的に異なっている.注腸X線造影像は“面”と“輪郭線”で構成される.“面”は“テクスチャー”,“図形”,“線”に分解される.“輪郭線”は注腸X線造影像でのみ描出されるが,腸管のさまざまな変形は“輪郭線”により表現されるため,腸管変形の診断は注腸X線造影検査の独壇場である.本稿では,代表的な注腸X線造影所見(びまん性病変,萎縮瘢痕帯,潰瘍,隆起,敷石像,変形,ひだ・集中像,瘻孔)について実際の画像を提示するとともに解説を加えた.注腸X線造影検査の意義が再認識されることを期待したい.

参考文献

1)入口陽介,小田丈二,水谷勝,他.美麗な二重造影—私のコツすべて教えます:美しい注腸X線造影検査を求めて.胃と腸 52:1136-1144, 2017
2)蔵原晃一,川崎啓祐,浦岡尚平,他.美麗な二重造影—私のコツすべて教えます:注腸X線造影検査.胃と腸 52:1128-1135, 2017
3)麦谷達郎,清水誠治,江頭由太郎,他.大腸憩室を背景に発生したと考えられるfiliform polyposisの1例.胃と腸 47:1127-1134, 2012
4)白壁彦夫.大腸を中心にした全消化管のX線診断理論—比較診断学の提唱.胃と腸 20:243-247, 1985
5)カンディンスキー(著),宮島久雄(訳).点と線から面へ.筑摩書房,2017
6)清水誠治,富岡秀夫,高島英隆,他.腸炎の診断プロセス.消内視鏡 29:12-19, 2017
7)清水誠治,小木曽聖,富岡秀夫,他.潰瘍性大腸炎,クローン病,過敏性腸症候群と鑑別を要する疾患—腸管感染症を中心に.日本大腸肛門病会誌 71:494-505, 2018
8)渡辺英伸,味岡洋一,太田玉紀,他.炎症性腸疾患の病理学的鑑別診断—大腸病変を中心に.胃と腸 25:659-682, 1990
9)牛尾恭輔.大腸疾患診断の実際1—検査法・炎症性疾患・虫垂疾患.医学書院,1988
10)白壁彦夫,吉川保雄,織田貫爾,他.大腸結核のX線診断.胃と腸 12:1597-1622, 1977
11)清水誠治,横溝千尋,富岡秀夫,他.狭窄を来す大腸疾患—診断のプロセスを含めた総合画像診断の立場から:上皮性腫瘍,非上皮性腫瘍,それぞれに適した検査の組み合わせ.胃と腸 50:1255-1266, 2015
12)清水誠治,小木曽聖,富岡秀夫,他.通常内視鏡画像の成り立ち—小腸,大腸.胃と腸 53:1260-1269, 2018
13)大井秀久,西俣嘉人,仲淳一郎,他.実験からみた虚血性大腸病変.胃と腸 28:943-958, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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