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今月の主題 早期胃癌の範囲診断up to date 序説
早期胃癌の範囲診断up to date
著者: 八尾建史1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院内視鏡部
ページ範囲:P.7 - P.9
文献購入ページに移動胃癌範囲診断の歴史
早期胃癌の治療は,内視鏡的切除術が開発される以前は,すべて外科手術によって行われていた.その当時も早期胃癌の範囲診断は重要であったが,定型手術である遠位側胃部分切除術の場合,通常の内視鏡診断に加えて想定される外科的切除断端となる肛門側から生検を行い,術前の範囲診断は完結した.しかしながら,早期胃癌の治療に対しEMR(endoscopic mucosal resection),ESD(endoscopic submucosal dissection)が開発され,内視鏡治療の時代になり早期胃癌の範囲診断の臨床が変わった.すなわち,治癒切除のためには,早期胃癌の範囲を全周にわたり厳密に同定する必要性が生じ,ESDを施行する際は,粘膜内癌・分化型癌・潰瘍の合併がない場合は,広範な病変についても全周にわたり厳密な範囲診断を内視鏡観察で行うこともまれではなくなった.すなわち,内視鏡治療の進歩とともに内視鏡観察による範囲診断にもより高度の技術や詳細な知識が求められるようになった.
早期胃癌の治療は,内視鏡的切除術が開発される以前は,すべて外科手術によって行われていた.その当時も早期胃癌の範囲診断は重要であったが,定型手術である遠位側胃部分切除術の場合,通常の内視鏡診断に加えて想定される外科的切除断端となる肛門側から生検を行い,術前の範囲診断は完結した.しかしながら,早期胃癌の治療に対しEMR(endoscopic mucosal resection),ESD(endoscopic submucosal dissection)が開発され,内視鏡治療の時代になり早期胃癌の範囲診断の臨床が変わった.すなわち,治癒切除のためには,早期胃癌の範囲を全周にわたり厳密に同定する必要性が生じ,ESDを施行する際は,粘膜内癌・分化型癌・潰瘍の合併がない場合は,広範な病変についても全周にわたり厳密な範囲診断を内視鏡観察で行うこともまれではなくなった.すなわち,内視鏡治療の進歩とともに内視鏡観察による範囲診断にもより高度の技術や詳細な知識が求められるようになった.
参考文献
1)八尾建史,上堂文也,鎌田智有,他 ; 日本消化器内視鏡学会早期胃癌の内視鏡診断ガイドライン委員会.早期胃癌の内視鏡診断ガイドライン.Gastroenterol Endosc 61:1283-1319, 2019
2)福井次矢,山口直人(監),森實敏夫,吉田雅博,小島原典子(編).Minds診療ガイドライン作成の手引き2014.医学書院,2014
3)Nagahama T, Yao K, Maki S, et al. Usefulness of magnifying endoscopy with narrow-band imaging for determining the horizontal extent of early gastric cancer when there is an unclear margin by chromoendoscopy(with video). Gastrointest Endosc 74:1259-1267, 2011
4)Nagahama T, Yao K, Uedo N, et al. Delineation of the extent of early gastric cancer by magnifying narrow-band imaging and chromoendoscopy:a multicenter randomized controlled trial. Endoscopy 50:566-576, 2018
5)八尾建史.胃拡大内視鏡.日本メディカルセンター,pp 223, 2009
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