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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻1号

2020年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の範囲診断up to date 主題 早期胃癌の範囲診断—範囲診断困難例とその臨床的対応

手つなぎ・横這い型胃癌

著者: 中沢啓1 吉永繁高1 橋本大輝2 張萌琳1 江郷茉衣1 高丸博之1 阿部清一郎1 野中哲1 鈴木晴久1 小田一郎1 関根茂樹2 斎藤豊1

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院内視鏡科 2国立がん研究センター中央病院病理診断科

ページ範囲:P.60 - P.66

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要旨●2012年1月〜2018年4月までに当院で内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)もしくは外科手術をされ,切除検体で手つなぎ・横這い型胃癌と診断された早期胃癌44病変に対して範囲生検の陽性・陰性的中率および術後のマッピング像を後ろ向きに検討し,範囲診断能を検討した.白色光像,インジゴカルミン撒布像,NBI拡大像で範囲明瞭と判断できたものはそれぞれ38.6%(17/44),56.8%(25/44),68.2%(15/22)であった.術前の範囲生検において陽性,陰性の正診率は95.5%(84/88),85.9%(263/306)であった.切除検体のマッピング像をもとに腫瘍の拡がりを検討したところ,類円型24病変に対して不整型は20病変と,類円型である病変が多かったが,約半数ほど不整な伸展を呈していた.術前に範囲を正確に認識できていた症例も認められたが,当初の認識と異なっていた症例が数例見受けられ,手つなぎ・横這い型胃癌に対して生検による範囲診断は重要と考えられた.

参考文献

1)吉永繁高,滝澤初,松本美野里,他.範囲診断が困難であった低異型度分化型早期胃癌(手つなぎ・横這型癌)の1例.胃と腸 45:1235-1243, 2010
2)八木一芳,佐藤聡史,中村厚夫,他.UL陰性未分化型胃粘膜内癌・粘膜内側方進展のNBI併用拡大内視鏡診断—その可能性と限界.胃と腸 44:60-70, 2009
3)八尾建史,長浜孝,田邉寛,他.胃腫瘍性病変の拡大内視鏡診断—拡大内視鏡診断の限界.胃と腸 46:903-914, 2011
4)八木一芳,味岡洋一.胃の拡大内視鏡診断,第2版.医学書院,2014
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7)加藤洋.生検の功罪—病理の立場から.消内視鏡 18:1815-1827, 2006
8)江頭由太郎,藤井基嗣,芥川寛,他.胃IIb型癌の病理組織学的特徴—胃IIb型癌のマクロ像と組織像の対比.胃と腸 45:23-37, 2010
9)九嶋亮治.胃の低異型度癌と超高分化腺癌.胃と腸 47:835, 2012
10)梅垣英次,江頭由太郎,竹内望.低異型度分化型胃癌の内視鏡診断通常内視鏡の立場から.胃と腸 45:1145-1157, 2010
11)藤崎順子,堀内祐介,山本智理子.NBI併用拡大内視鏡でも範囲診断困難な胃癌の特徴—中分化型や未分化癌を中心に.胃と腸 50:279-288, 2015
12)荒木理,日下利広,大岩容子.地図状発赤との鑑別を要した早期胃癌手つなぎ型腺癌の1例.胃と腸 52:1393-1396, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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