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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻1号

2020年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の範囲診断up to date 主題 早期胃癌の範囲診断—範囲診断困難例とその臨床的対応

潰瘍瘢痕併存胃癌

著者: 齋藤宏章1 平澤大1 松田知己1 中堀昌人1 奥薗徹1 鈴木憲次郎1 阿部洋子1 五十嵐公洋1 名和田義高1 田中由佳里1 海野修平1 田中一平1 井上薪1 伊藤聡司1 友兼正太郎1 長南明道2

所属機関: 1仙台厚生病院消化器内科 2仙石病院内科

ページ範囲:P.83 - P.91

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要旨●早期胃癌の診断・治療では病変の範囲診断は重要だが,臨床では潰瘍瘢痕(UL)併存病変の範囲診断に難渋することが見受けられる.UL併存病変の形態的特徴を後ろ向きに検討した.2018年8月〜2019年8月までに当院でESDを施行し,UL併存と判断した病変を対象とした.病変の形状が類円形のものを整,辺縁が突起状に拡がるものや,瘢痕上に複数の病変を認めるものを不整・分断に区分した.解析対象となった14例のうち,不整例は7例(50.0%)で5例(35.7%)は病変の境界を全周に追うことが困難だった.不整・分断例のうち,2例は多発病変だった.UL併存病変は高率に不整形で,病変の範囲の評価が困難な症例が多く,範囲診断に十分な注意を払う必要があると考えられた.

参考文献

1)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン,第5版,2018
2)Hirasawa K, Kokawa A, Oka H, et al. Risk assessment chart for curability of early gastric cancer with endoscopic submucosal dissection. Gastrointest Endosc 74:1268-1275, 2011
3)Numata N, Oka S, Tanaka S, et al. Risk factors and management of positive horizontal margin in early gastric cancer resected by en bloc endoscopic submucosal dissection. Gastric Cancer 18:332-338, 2015
4)小野尚子,加藤元嗣,津田桃子,他.早期胃癌の診断—NBI拡大観察でどこまで診断可能か.消内視鏡 28:414-419, 2016
5)赤松泰次.悪性サイクル(malignant cycle).胃と腸 52:612, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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