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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻1号

2020年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌の範囲診断up to date 主題症例

随伴IIb病巣として横這型癌が存在し範囲診断困難であった分化型早期胃癌の1例

著者: 名和田義高1 市原真2 平澤大1 松田知己1

所属機関: 1一般財団法人厚生会仙台厚生病院消化器内科 2JA北海道厚生連札幌厚生病院病理診断科

ページ範囲:P.100 - P.108

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要旨●患者は70歳代,男性.自然除菌後の胃体上部後壁に,一部境界不明瞭な20mm大の発赤扁平隆起性病変とその周囲に平坦発赤域が散在していた.扁平隆起した主病変部分はNBI拡大内視鏡でVEC patternを呈し乳頭腺癌を疑った.その周囲の発赤域は概ねLBC(light blue crest)を伴う形状均一なvilli様構造で腸上皮化生と診断した.内視鏡的切除標本では主病変部分は主に乳頭腺癌・管状腺癌から成り,深達度pT1b(SM2),脈管侵襲陽性であった.その周囲には随伴IIb病巣として横這型癌が存在し側方断端陽性であった.追加外科的切除標本では癌の遺残,リンパ節転移は認めなかった.横這型癌は,非全層性発育によりNBI拡大内視鏡診断が困難な場合もあり,陰性生検も時に併用し慎重な範囲診断が求められる.

参考文献

1)Kanemitsu T, Yao K, Nagahama T, et al. The vessels within epithelial circle(VEC)pattern as visualized by magnifying endoscopy with narrow-band imaging(ME-NBI)is a useful marker for the diagnosis of papillary adenocarcinoma:a case-controlled study. Gastric Cancer 17:469-477, 2014
2)Uedo N, Ishihara R, Iishi H, et al. A new method of diagnosing gastric intestinal metaplasia:narrow-band imaging with magnifying endoscopy. Endoscopy 38:819-824, 2006
3)江頭由太郎,藤井基嗣,芥川寛,他.胃IIb型癌の病理組織学的特徴—胃IIb型癌のマクロ像と組織像の対比.胃と腸 45:23-37, 2010
4)江頭由太郎,芥川寛,竹内利寿,他.粘膜内進展範囲診断の困難な胃癌の病理学的特徴.胃と腸 50:251-266, 2015
5)河内洋,岡本直子,吉田達也,他.“横這型胃癌”の臨床病理学的特徴.胃と腸 45:1203-1211, 2010
6)吉永繁高,瀧澤初,松本美野里,他.範囲診断が困難であった低異型度分化型早期胃癌(手つなぎ・横這型癌)の1例.胃と腸 45:1235-1243, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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