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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻11号

2020年10月発行

文献概要

今月の主題 小腸腫瘍アトラス 序説

「小腸腫瘍」雑考

著者: 清水誠治1

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲:P.1331 - P.1332

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 小腸は,外界との境である口や肛門から最も離れた,数mに及ぶ狭い管腔臓器であり,腸間膜で支持され可動性に富む.これが内視鏡の到達を阻んでいた要因である.また,上皮の細胞回転が速く,リンパ装置が発達している.内容物は液状で通過が速く,消化酵素活性が高く,腸内細菌が少ない.これらは腫瘍(特に上皮性)が少ないことと関連付けて考えられている.
 古くから小腸腫瘍では,①腫瘤,②腹痛,③出血が3徴として有名であるが,他にも貧血,腸閉塞などさまざまな愁訴を契機に発見される.悪性腫瘍は増大して顕在化するが,良性腫瘍は多くが無症状で経過する.スクリーニング検査の対象となる条件は検査が比較的容易で疾患頻度が高いことであるが,小腸はいずれも満たさない.偶然を除き無症状の小病変は検出されず,小腸腫瘍の全体像は不可知である.小腸腫瘍の頻度や疾患構成を探る試みは従来度々行われてきたが,手法によって観測値は大きく変化する.

参考文献

1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」.全国がん登録.https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/dl/cancer_incidenceNCR(2016-2017).xls(2020年8月5日アクセス)
2)川井啓市,馬場忠雄,赤坂裕三,他.わが国における小腸疾患の現況と展望.胃と腸 11:145-155, 1976
3)味岡洋一,渡辺玄,加藤卓.小腸腫瘍性疾患の病理学的鑑別診断.胃と腸 43:499-512, 2008
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5)八尾恒良,八尾建史,真武弘明,他.小腸腫瘍—最近5年間(1995〜1999)の本邦報告例の集計.胃と腸 36:871-881, 2001
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7)平井郁仁,別府孝浩,松井敏幸.小腸腫瘍性疾患における診断の進歩—カプセル内視鏡とバルーン内視鏡による診断の現状を中心に.日消誌 110:1214-1224, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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