icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻12号

2020年11月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

MALTリンパ腫との鑑別を要した梅毒性胃腸炎の1例

著者: 矢野庄悟1 丸山保彦1 吉井重人1 景岡正信1 大畠昭彦1 寺井智宏1 星野弘典1 山本晃大1 稲垣圭佑1 山田裕1 鈴木直之2 甲田賢治3 安田和世3 二村聡45

所属機関: 1藤枝市立総合病院消化器内科 2なお消化器内科クリニック 3藤枝市立総合病院病理診断科 4福岡大学医学部病理学講座 5福岡大学筑紫病院病理部・病理診断科

ページ範囲:P.1540 - P.1546

文献購入ページに移動
要旨●患者は30歳代,男性.X年3月より上腹部痛と水様性下痢が出現し,前医で行われたEGDで胃の潰瘍性病変を認めた.病変部の生検でMALTリンパ腫が疑われ,当院に紹介となった.全身CT,PET-CTでは頭頸部と腹腔内のリンパ節腫大が確認された.上下部消化管内視鏡検査では胃前庭部の広範な潰瘍性病変と上行結腸・横行結腸にびらんを認め,生検ではMALTリンパ腫と非特異的炎症の診断に分かれた.血清梅毒反応が陽性となり,生検組織の免疫組織化学染色にて多数のT. pallidum菌体が確認されたことから胃・大腸梅毒と診断した.MALTリンパ腫との鑑別が問題となり,胃と大腸病変を呈した消化管梅毒の症例であった.

参考文献

1)Andral G. Clinique Med. Paris, 3rd ed, Louis Castel, Montpellier, p 201, 1834
2)Neville DY, John RL. Infections of the Stomach and Duodenum. Haubrich WS, Schaffner F, Berk JE(eds), Bockus Gastroenterology, 5th ed. WB Saunders, Philadelphia, p 809, 1995
3)Maruyama M, Hayakawa H, Nishizawa M, et al. Gastric lesions associated with secondary syphilis:a case suspected of gastric sarcoma by X-ray and endoscope. 胃と腸 3:195-202, 1968
4)Palmer ED. Clinical Gastroenterology, 2nd ed. Harper & Row, New York, pp 154-156, 1963
5)堺勇二,渕上忠彦,平川雅彦,他.梅毒の上部消化管病変.胃と腸 29:1401-1410, 1994
6)小林広幸,渕上忠彦.細菌性感染症—消化管梅毒.胃と腸 37:379-384, 2002
7)小林広幸,渕上忠彦,福島範子,他.胃梅毒の2例—第2期梅毒性皮疹との形態学的類似性について.胃と腸 26:545-551, 1991
8)小林広幸,堺勇二,蔵原晃一,他.消化管梅毒.消内視鏡 21:382-386, 2009
9)千野早苗,正田健,萩原典和,他.梅毒性胃腸炎の一症例.日大医誌 61:171-175, 2002
10)仲本雅子,竹馬彰,根津真司,他.酵素抗体法によって確定診断を得た胃梅毒の1例.ENDOSCOPIC FORUM for digestive disease 19:45-51, 2003
11)2016ガイドライン委員会.性感染症診断・治療ガイドライン2016.日性感染症会誌 27(Suppl):46-50, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?