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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻13号

2020年12月発行

今月の主題 大腸鋸歯状病変の新展開

主題

大腸鋸歯状病変に対する臨床診断の現状と課題—経過観察,選択的治療の観点から

著者: 松下弘雄1 吉川健二郎1 加藤文一朗1 萬春花1 橋本大志1 髙木亮1 田中義人1 山崎晃汰1 東海林琢男2 榎本克彦2

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター 2秋田赤十字病院病理診断科

ページ範囲:P.1597 - P.1603

文献概要

要旨●当院では以前よりSSA/Pに対して内視鏡検査による詳細観察を行い,悪性化のポテンシャルを有するとされているSSA/P with cytological dysplasia,または内視鏡治療適応内のcancer in SSA/Pまでの段階で診断することを目指し,原則そのような病変のみを治療の対象としている.今回SSA/Pと診断し,経過観察後,治療した55病変を検討したが.内視鏡所見の変化に着目し,切除適応病変を判断することで全例適切に内視鏡治療にて根治切除可能であった.後ろ向きの,かつ限られた条件での検討であったが,SSA/Pの癌化率は高くはないこと,SSA/P with cytological dysplasia,cancer in SSA/Pへの変化は内視鏡所見にて診断可能であることが多く,経時的に経過観察が可能な場合は内視鏡診断にて必要な病変のみ治療する方法も選択肢の一つと考える.

参考文献

1)西園雅代,山野泰穂,原田拓,他.経時的変化を追えたSSA/P(sessile serrated adenoma/polyp)由来早期大腸癌の1例.胃と腸 50:1731-1738, 2015
2)田中義人,山野泰穂,松下弘雄,他.SSA/Pの拡大内視鏡診断.胃と腸 51:672-681, 2016
3)山野泰穂,松下弘雄,田中義人,他.大腸鋸歯状病変の拡大内視鏡観察.胃と腸 54:48-56, 2019
4)木村友昭,山野泰穂,菅井有,他.大腸鋸歯状病変の内視鏡診断—pit pattern所見を中心に.胃と腸 46:418-426, 2011
5)Kimura T, Yamamoto E, Yamano H, et al. A novel pit pattern identifies the precursor of colorectal cancer derived from sessile serrated adenoma. Am J Gastroenterol 107:460-469, 2012
6)松下弘雄,山野泰穂,吉川健二郎,他.大腸LST(laterally spreading tumor)に対するpit pattern診断.胃と腸 49:1673-1683, 2014
7)藤井隆広,九嶋亮治.大腸鋸歯状病変の癌化を考える.消内視鏡 24:1199-1201, 2012
8)Lash RH, Genta RM, Schuler CM. Sessile serrated adenomas:prevalence of dysplasia and carcinoma in 2139 patients. J Clin Pathol 63:681-686, 2010
9)Chino A, Yamamoto N, Kato Y, et al. The frequency of early colorectal cancer derived from sessile serrated adenoma/polyps among 1858 serrated polyps from a single institution. Int J Colorectal Dis 31:343-349, 2016
10)松下弘雄,吉川健二郎,田中義人,他.大腸腫瘍性病変の内視鏡診断—鋸歯状病変の内視鏡診断.胃と腸 55:684-700, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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