icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻3号

2020年03月発行

文献概要

今月の主題 いま知っておきたい食道良性疾患 主題

—食道良性腫瘍および腫瘍様病変の診断—リンパ管腫

著者: 万波智彦1 園部宏2 藤原延清3

所属機関: 1国立病院機構岡山医療センター消化器内科 2労働者健康安全機構岡山労災病院病理 診断科 3公立学校共済組合中国中央病院内科

ページ範囲:P.278 - P.281

文献購入ページに移動
疾患の概念
 リンパ管腫(lymphangioma)は,頭頸部や腋窩が好発部位であり,ほかにも四肢,縦隔などリンパ管の存在する場所であれば,どこにでも発生する.しかし,消化管に生じることは非常に少なく,その頻度は1%未満とされる1).消化管では,主に大腸,次いで小腸に発生し,食道への発症は極めてまれである.食道リンパ管腫の本邦からの症例報告は,これまで20例に満たない.
 病理組織学的にリンパ管腫は,1層の内皮細胞を伴ったリンパ管が,囊胞状に拡張,増生しながら腫瘤を形成している.先天性あるいは後天性に生じたリンパ管の形成異常が原因であり,腫瘍ではないため,最近ではリンパ管奇形(lymphatic malformation)と呼称されることが増えてきた2).一方,WHO消化器腫瘍分類(いわゆるBlue book)の最新版(第5版・2019年発行)では,従来どおり“lymphangioma”と記載されている1)

参考文献

1)Thway K, Doyle LA. Lymphangioma and lymphangiomatosis. In WHO Classification of Tumours Editorial Board(eds). Digestive System Tumours, WHO Classification of Tumours, 5th ed, IARC press, Lyon, pp 475-476, 2019
2)Goldblum JR, Folpe AL, Weiss SW. Tumors and malformations of lymphatic vessels. Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors, 6th ed. Saunders, Philadelphia, 2013
3)佐藤昂平,万波智彦,園部宏,他.NBI併用拡大内視鏡を含め詳細観察を行った食道リンパ管腫の1例.胃と腸 48:1643-1652, 2013
4)三浦義正,井野裕治,大澤博之.食道リンパ管腫.消内視鏡 26:1576-1577, 2014
5)Mannami T, Seno S, Sonobe H, et al. Lymphangioma of the anal canal:first description of the endoscopic features. Endoscopy 46:E545-546, 2014
6)Arashiro M, Satoh K, Osawa H, et al. Endoscopic submucosal dissection of esophageal lymphangioma:a case report with a review of the literature. Clin J Gastroenterol 3:140-143, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら