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今月の主題 いま知っておきたい食道良性疾患 主題
—食道良性腫瘍および腫瘍様病変の診断—リンパ管腫
著者: 万波智彦1 園部宏2 藤原延清3
所属機関: 1国立病院機構岡山医療センター消化器内科 2労働者健康安全機構岡山労災病院病理 診断科 3公立学校共済組合中国中央病院内科
ページ範囲:P.278 - P.281
文献購入ページに移動リンパ管腫(lymphangioma)は,頭頸部や腋窩が好発部位であり,ほかにも四肢,縦隔などリンパ管の存在する場所であれば,どこにでも発生する.しかし,消化管に生じることは非常に少なく,その頻度は1%未満とされる1).消化管では,主に大腸,次いで小腸に発生し,食道への発症は極めてまれである.食道リンパ管腫の本邦からの症例報告は,これまで20例に満たない.
病理組織学的にリンパ管腫は,1層の内皮細胞を伴ったリンパ管が,囊胞状に拡張,増生しながら腫瘤を形成している.先天性あるいは後天性に生じたリンパ管の形成異常が原因であり,腫瘍ではないため,最近ではリンパ管奇形(lymphatic malformation)と呼称されることが増えてきた2).一方,WHO消化器腫瘍分類(いわゆるBlue book)の最新版(第5版・2019年発行)では,従来どおり“lymphangioma”と記載されている1).
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