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今月の主題 いま知っておきたい食道良性疾患 主題
—食道良性腫瘍および腫瘍様病変の診断—天疱瘡
著者: 中村理恵子1 大森泰2 松田諭1 眞栁修平1 入野誠之1 和田則仁1 川久保博文1 山上淳3 天谷雅行3 北川雄光1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科 2川崎市立井田病院内視鏡センター 3慶應義塾大学医学部皮膚科
ページ範囲:P.301 - P.303
文献購入ページに移動天疱瘡は,皮膚や重層扁平上皮粘膜に病変が認められる自己免疫性水疱性疾患の一つである.表皮細胞間接着因子がIgG自己抗体により障害され表皮内水疱を形成する疾患であり,表皮細胞間接着に関わるカドヘリン型細胞間接着因子,デスモグレインが抗原蛋白である.天疱瘡は,①尋常性天疱瘡,②落葉状天疱瘡,③その他の3群に大別され,それぞれ臨床症状が異なる.①尋常性天疱瘡は,さらに粘膜優位型と粘膜皮膚型に分類されるが,尋常性天疱瘡が天疱瘡群中最も頻度が高く,最も特徴的な所見は口腔粘膜に認められる疼痛を伴う難治性のびらん,潰瘍である.初発症状としては口腔粘膜症状の頻度が高く,重症例では摂食不良となることもある.口腔粘膜以外に口唇,咽喉頭,食道,眼瞼結膜,腟などの重層扁平上皮が侵される病態で,約半数の症例で皮膚にも弛緩性水疱やびらんを生じる.
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