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今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍 主題アトラス
食道:類基底細胞癌
著者: 新井冨生1 井下尚子1 野中敬介1 相田順子2 田久保海誉2 石渡俊行2 松川美保3 上垣佐登子4 金澤伸郎5 黒岩厚二郎5
所属機関: 1東京都健康長寿医療センター病理診断科 2東京都健康長寿医療センター研究所老年病理学研究チーム 3東京都健康長寿医療センター内視鏡科 4東京都健康長寿医療センター消化器内科 5東京都健康長寿医療センター外科
ページ範囲:P.380 - P.383
文献購入ページに移動類基底細胞癌〔basaloid(squamous)carcinoma〕は扁平上皮癌の亜型の一つで,基底細胞に類似した比較的小型の細胞から構成され,充実性あるいは索状構造を示し増殖する腫瘍である.一部で小囊胞状構造や導管様分化を伴うこともある.本腫瘍は,腫瘍細胞胞巣の周囲あるいは内部に基底膜様物質の沈着を認める.上皮内には扁平上皮癌を有することが多く,浸潤部でも扁平上皮癌を伴うことがある.類基底細胞癌の起源は基底細胞あるいは食道腺導管開口部付近に存在する多分化能を有する原始的な細胞である可能性が高いと言われている.腺様囊胞癌と異なり,類基底細胞癌では筋上皮への分化は認められない.予後に関しては通常の扁平上皮癌より不良とされるが,明らかな差がないという報告もある.
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