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今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍 主題アトラス
食道:癌肉腫
著者: 河内洋1 中野薫1
所属機関: 1がん研究会有明病院臨床病理センター病理部
ページ範囲:P.384 - P.386
文献購入ページに移動食道癌肉腫は食道扁平上皮領域に発生し,病理組織学的に扁平上皮癌から成る上皮性悪性腫瘍(癌腫)成分と,肉腫成分から成る非上皮性悪性腫瘍成分の双方を含む悪性腫瘍である1).かつては扁平上皮癌の間質が悪性化し癌腫と肉腫が併存する“真性癌肉腫”と,扁平上皮癌の二次的形質転換により肉腫様成分が形成された“いわゆる癌肉腫”に区別されていたが2),両者の鑑別は実臨床上困難であることから現在では区別していない.WHO分類では後者の発生機序を想定し扁平上皮癌の亜型に位置づけられ,spindle cell squamous cell carcinomaと同義とされている3).扁平上皮癌に反応性の非腫瘍性間質細胞増生が目立つものを“偽肉腫”と呼び癌肉腫に含める立場もあったが,非腫瘍成分を肉腫成分と見なすことは適切でなく,本組織型には含めるべきでない.
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