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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻4号

2020年04月発行

今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍

主題アトラス

胃:Epstein-Barrウイルス関連胃癌

著者: 海崎泰治1

所属機関: 1福井県立病院病理診断科

ページ範囲:P.413 - P.416

文献概要

概念・定義1)2)
 EBV(Epstein-Barr virus)はヘルペスウイルスの一種で,日本人の多くに潜伏感染している.鼻咽頭癌や悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の原因ウイルスとして知られるが,胃癌の約5〜10%でも癌細胞にEBVの潜伏感染が確認され,EBV関連胃癌と呼ばれている.
 EBV関連胃癌の7〜8割はリンパ球浸潤癌の形態をとり,リンパ球浸潤癌におけるEBV感染を検索したことにより研究が開始されている.臨床病理学的には,著明に男性優位(4:1程度)であり,罹患年齢は60歳代前半で,通常型胃癌よりもやや若い傾向にある.発生部位は胃の近位部に多い.多発例が多く,同時多発症例のみならずEBV関連胃癌切除後の残胃発生症例も多い.残胃の癌では特にBillroth II法再建胃の吻合部に発生する頻度が高く,背景にstomal polypoid hyperplastic gastritis(gastritis cystica polyposa)を有することが多い.リンパ節転移の頻度が低く,通常型胃癌と比較して予後がよい.このような通常型胃癌とは異なる特徴を有し,独立した組織型であると考えられている.

参考文献

1)Shinozaki-Ushiku A, Kunita A, Fukayama M. Update on Epstein-Barr virus and gastric cancer(review). Int J Oncol 46:1421-1434, 2015
2)海崎泰治,細川治,宮永太門,他.リンパ球浸潤胃癌—病理の立場から.胃と腸 45:1916-1925, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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