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今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍 主題アトラス
上部消化管:GIST
著者: 伴慎一1 松嶋惇1 佐藤泰樹1 佐藤陽子1 藤井晶子1 小野祐子1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科
ページ範囲:P.446 - P.449
文献購入ページに移動プロトタイプとしてのGIST(gastrointestinal stromal tumor)は消化管の固有筋層に連続するかたちで発生する間葉系腫瘍であり,固有筋層間に存在し消化管蠕動運動のペースメーカー細胞として機能するCajal介在細胞様の分化を呈し,KIT蛋白(CD117)の発現とKIT遺伝子変異を特徴とする.その他,PDGFRA遺伝子変異やその他の遺伝子異常を有する例が明らかにされてきている.
GISTは小児から高齢者まで幅広い年齢に発生するが,中高年者に多い.性差による発生頻度に顕著な違いはみられない.胃での発生が少なくとも半数以上を占め,残りの多くが十二指腸を含む小腸に認められる.大腸や食道での発生はまれである.胃では体部,噴門部,穹窿部に生じることが多い.多くは孤発性に生じるが,非常にまれに症候性もしくは家族性に生じる病態がみられる.GISTは良悪性に関して多彩な生物学的態度を呈するが,転移形式にも特徴があり,主に腹膜播種と肝転移を来す.特殊な例を除いてリンパ節転移はまれである.小腸GISTは胃GISTよりも転移を生じやすい.
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