文献詳細
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—上部消化管腫瘍
主題アトラス
文献概要
概念・定義1)2)
消化管の内分泌細胞腫瘍(WHO分類ではneuroendocrine neoplasm)は,消化管原発で,腫瘍性内分泌細胞が充実性,索状,ロゼット様構造,腺房状胞巣などの特徴的な構築に配列し,毛細血管に富む繊細な間質を伴い,充実性の腫瘍塊を形成して増殖する癌腫の総称である.
消化管のいずれの臓器からの発生例でも,内分泌細胞腫瘍は予後の比較的良好なカルチノイド腫瘍(neuroendocrine tumor ; NET)と予後不良な内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma ; NEC)に大きく分類される.両者は悪性度が異なるだけでなく,発生起源も全く異なり,区別することは病理学的のみならず臨床的にも重要である.WHO分類ではNETとNECが同系統の腫瘍として混同されていた時期もあったが,2019年の消化器腫瘍のWHO分類では,NETとNECが分子生物学的,臨床的,疫学的,病理組織学的に,さらに予後の面でも正式に別の腫瘍であることを認めており,Table 1,2 1)のような分類が示されている.一方,本邦の癌取扱い規約では,以前よりカルチノイド腫瘍(食道では“神経内分泌腫瘍”)と内分泌細胞癌(食道では“神経内分泌細胞癌”)に分類されている.内分泌細胞癌でよくみられる内分泌成分と非内分泌成分の混在性腫瘍については,WHO分類では,両成分の比率で診断名を分けているが,癌取扱い規約では内分泌成分が少量でも存在すれば予後不良であるとして亜分類を設けていない.
消化管の内分泌細胞腫瘍(WHO分類ではneuroendocrine neoplasm)は,消化管原発で,腫瘍性内分泌細胞が充実性,索状,ロゼット様構造,腺房状胞巣などの特徴的な構築に配列し,毛細血管に富む繊細な間質を伴い,充実性の腫瘍塊を形成して増殖する癌腫の総称である.
消化管のいずれの臓器からの発生例でも,内分泌細胞腫瘍は予後の比較的良好なカルチノイド腫瘍(neuroendocrine tumor ; NET)と予後不良な内分泌細胞癌(neuroendocrine carcinoma ; NEC)に大きく分類される.両者は悪性度が異なるだけでなく,発生起源も全く異なり,区別することは病理学的のみならず臨床的にも重要である.WHO分類ではNETとNECが同系統の腫瘍として混同されていた時期もあったが,2019年の消化器腫瘍のWHO分類では,NETとNECが分子生物学的,臨床的,疫学的,病理組織学的に,さらに予後の面でも正式に別の腫瘍であることを認めており,Table 1,2 1)のような分類が示されている.一方,本邦の癌取扱い規約では,以前よりカルチノイド腫瘍(食道では“神経内分泌腫瘍”)と内分泌細胞癌(食道では“神経内分泌細胞癌”)に分類されている.内分泌細胞癌でよくみられる内分泌成分と非内分泌成分の混在性腫瘍については,WHO分類では,両成分の比率で診断名を分けているが,癌取扱い規約では内分泌成分が少量でも存在すれば予後不良であるとして亜分類を設けていない.
参考文献
1)Klimstra DS, Klöppel G, La Rosa S, et al. Classification of neuroendocrine neoplasms of the digestive system. In the WHO Classification of Tumours Editorial Board(eds). WHO Classification of Tumours, Digestive System Tumours, 5th ed. IARC press, Lyon, pp 16-22, 2019
2)海崎泰治,小上瑛也,原季衣,他.消化管内分泌細胞腫瘍の病理学的特徴.胃と腸 52:390-401, 2017
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