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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻5号

2020年05月発行

文献概要

増刊号 消化管腫瘍の内視鏡診断2020 主題

—胃腫瘍性病変の内視鏡診断—上皮下発育悪性腫瘍の診断(NET,GIST,転移性胃癌)

著者: 岩上裕吉1 上堂文也1 松浦倫子1 庄司絢香1 三宅宗彰1 松枝克典1 井上貴裕1 脇幸太郎1 中平博子1 七條智聖1 前川聡1 金坂卓1 竹内洋司1 東野晃治1 石原立1 北村昌紀2

所属機関: 1大阪国際がんセンター消化管内科 2大阪国際がんセンター病理・細胞診断科

ページ範囲:P.584 - P.592

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●「考える内視鏡診断」のポイント
・SMT様の隆起性病変の診断では,まず大きさ,表面の弧の形状,隆起の立ち上がりの性状から主座を推測する.さらに,病変の部位,個数,隆起の形状,陥凹の有無と性状に着目し鑑別診断を行う.
・EUSでは,病変の局在(非腫瘍胃壁構造との連続性),辺縁性状,内部エコー像を観察する.
・NETは発赤や陥凹など上皮に変化を伴うことが多く,大きなものは不整形で陥凹を伴うことが多い.黄色調,表面に血管拡張を伴うことがある.EUSで第2層に連続する低エコー腫瘤として観察される.
・GISTは球形で丈が高く,頂部に深い円形の潰瘍を伴うことがある.第4層に連続する低エコー腫瘤として観察される.
・転移性胃癌は多発し,丈が低く陥凹を伴うことが多い.
・組織診断のため,狙撃生検やボーリング生検,EUS-FNAを試み,診断困難であれば内視鏡的切除も考慮する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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