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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻6号

2020年05月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌—病態と診断・治療の最前線 序説

スキルス胃癌—病態と診断・治療の最前線

著者: 長浜隆司1

所属機関: 1千葉徳洲会病院消化器内科・内視鏡センター

ページ範囲:P.767 - P.769

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はじめに
 “スキルス胃癌”は現在,臨床的には「胃癌取扱い規約」1)に準じて“著明な潰瘍形成も周堤もなく,胃壁の肥厚・硬化を特徴とし,病巣と周囲粘膜との境界が不明瞭なもの”と定義され,びまん浸潤型の4型に分類されるが,他にびまん浸潤型胃癌,LP(linitis plastica)型胃癌などさまざまな呼称で用いられることがある.歴史的にそれらの定義と解釈に多少の相違はあったものの,本邦では肉眼的形態学的に特徴を備えた特定の癌の形を示すのではなく,病理学組織学的に基質が極めて多く,癌細胞が少なく高度の線維性結合組織の増生を示す胃癌の総称であるとされる.
 今回の主題ではスキルス胃癌としてすべてを包括して扱うものとするが,冒頭にて,さまざまな呼称の語源や歴史について文献的考察を中心に概説する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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