icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻6号

2020年05月発行

今月の主題 スキルス胃癌—病態と診断・治療の最前線

主題

スキルス胃癌の病理診断

著者: 河内洋12 野田啓人23 中野薫1

所属機関: 1がん研究会有明病院臨床病理センター病理部 2がん研究会がん研究所病理部 3日本医科大学付属病院消化器内科学

ページ範囲:P.770 - P.777

文献概要

要旨●スキルス胃癌の病理診断について,①その歴史的な定義,②肉眼的・病理組織学的特徴,③同様のあるいは類似の病変を示す4型胃癌・linitis plastica型胃癌などの術語との異同,④実臨床上の捉えられ方,について述べた.病理組織学的には,発生部位,肉眼型,組織型,拡がりなどによらず,線維性結合組織の高度な増生を伴うものがスキルス胃癌に相当する.病理学的にスキルス胃癌と診断される病変には,linitis plastica型,幽門狭窄型,3型スキルス胃癌,0-IIc型スキルス胃癌などがある.一方,臨床的にスキルス胃癌という場合,多くは,胃底腺粘膜領域に原発巣があり,急速に進行し,広範な進展を示して胃壁の硬化と収縮を伴うlinitis plastica型胃癌か,幽門前庭部に原発巣がある幽門狭窄型のいずれかを指すことが多い.また,4型胃癌という場合は,linitis plastica型胃癌の他に,胃壁の硬化を伴わず,低分化腺癌細胞が個細胞性・小胞巣性に遊走するがごとく拡がるものが含まれる.

参考文献

1)緒方知三郎,三田村篤志郎.病理学総論 下の巻,復刻版.南山堂,pp 963, 1968
2)吉井隆博.スキルスの概念と組織発生.胃と腸 11:1297-1305, 1976
3)望月孝規.胃スキルスの病理.胃と腸 11:1261-1264, 1976
4)中村恭一,菅野晴夫,杉山憲義,他.胃硬癌の臨床的ならびに病理組織学的所見.胃と腸 11:1275-1284, 1976
5)浜田勉.スキルス型胃癌と内視鏡診断.消内視鏡 22:69-74, 2010
6)下田忠和,広田映五.胃びまん性癌における粘膜内癌浸潤と線維化についての病理学的考察.胃と腸 11:1265-1274, 1976
7)磨伊正義,三林裕,奥村義治,他.発育経過からみた胃癌の自然史—癌組織型と発育進展様式について.胃と腸 27:39-50, 1992
8)中村恭一.胃癌の構造,第3版.医学書院,東京,2005
9)中村恭一,馬場保昌.Linitis plastica型胃癌.医学書院,東京,2011
10)磨伊正義,村俊成,奥村義治.「スキルス」胃癌の初期病変とは—早期発見へのアプローチ.外科治療 86:1056-1064, 2002
11)平橋美奈子,八尾隆史.スキルス胃癌の特徴と診断の基本—病理の立場から.胃と腸 45:422-427, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら