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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻7号

2020年06月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

Superficially Serrated Adenoma(SuSA)の1例

著者: 赤保内正和1 原田拓1 萬春花1 立花靖大1 青木敬則1 田沼徳真1 篠原敏也2 市原真3

所属機関: 1手稲渓仁会病院消化器病センター 2手稲渓仁会病院病理診断科 3JA北海道厚生連札幌厚生病院病理診断科

ページ範囲:P.951 - P.959

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要旨●患者は60歳代,男性.腹痛を主訴に前医にて下部消化管内視鏡検査(CS)を施行され,直腸に病変を認め,当科に紹介となった.当科のCSでは,直腸S状部に20mm大の0-IIa型病変を認め,拡大内視鏡観察では全体に鋸歯状構造を呈する病変が認められ,II型pitの平坦隆起領域を主体とし中央部の鋸IV型pit部が観察された.何らかの腫瘍としての性質を有する鋸歯状病変と判断し,診断的治療として内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を施行した.病理組織像は,II型pit部では腫瘍腺管表層部に鋸歯状構造を認め,腺管中部〜底部では低異型度腺腫相当の直線状の管状腺管が認められた.病変中央の鋸IV型pit部は,表層の乳頭状の増殖を認める以外はII型pit部と類似の病理組織像を呈し,SuSA(superficially serrated adenoma)と診断した.

参考文献

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2)菅井有,山本英一郎,木村友昭,他.大腸鋸歯状病変の臨床病理と分子異常.日消誌 112:661-668, 2015
3)Bosman FT, Carneiro F, Hurban RH, et al(eds). WHO classification of Tumours of the Digestive System. IARC Press, Lyon, 2010
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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