icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻7号

2020年06月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

食道胃接合部領域の粘膜下腫瘍として発見されESDで切除された噴門腺過形成の1例

著者: 吉田尚弘1 津山翔2 増永哲平1 湊宏3 八尾隆史2 土山寿志1

所属機関: 1石川県立中央病院消化器内科 2順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学講座 3石川県立中央病院病理診断科

ページ範囲:P.960 - P.967

文献購入ページに移動
要旨●患者は60歳代,女性.検診のEGDで,食道胃接合部に粘膜下腫瘍(SMT)様病変を認めたため,当院を紹介され受診となった.EUSでは第3層を主座とする低エコー層に包まれた1cm大のSMTで,その内部には高エコー,低エコー,無エコーが不均一に混在していた.ESDを行い偶発症なく病変を一括切除した.病理組織学的診断では,線維性隔壁で被覆された噴門腺の増生を認め,噴門腺過形成と診断した.噴門腺過形成は非常にまれな病変であり,本例はESDで一括切除することで,詳細な病理学的評価のもと噴門腺過形成と診断し得た貴重な症例と考えられた.

参考文献

1)八尾隆史,大倉康男,小池盛雄.内視鏡医に必要な病理知識.日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会(編).消化器内視鏡ハンドブック.日本メディカルセンター,pp 128-137, 2012
2)山際裕史,寺田紀彦.胃噴門腺過形成ポリープの1例.消化器科 26:358-360, 1998
3)Nagata S, Tanaka S, Ito M, et al. Cardiac glands hyperplastic polyp of the stomach. J Gastroenterol Hepatol 20:1461-1463, 2005
4)岡志郎,田中信治,毛利律生,他.胃噴門腺過形成性ポリープの1例.臨消内科 25:607-610, 2010
5)Daibo M, Itabashi M, Hirota T. Malignant transformation of gastric hyperplastic polyps. Am J Gastroenterol 82:1016-1025, 1987
6)長南明道,望月福治,池田卓,他.胃過形成ポリープの癌化例の検討.Gastroenterol Endosc 31:344-350, 1989
7)利根幸三,森内昭,谷村晃.胃過形成性ポリープの癌化例の検討.ENDOSC FORUM digest dis 12:193-199, 1996
8)日本癌治療学会,日本胃癌学会,GIST研究会(編).GIST診療ガイドライン,第3版.金原出版,2014
9)大嶋隆夫,為我井芳郎,長沖裕子,他.胃粘膜下腫瘍に対する粘膜切開直視下生検法の有用性について.Pro Dig Endosc 71:28-33, 2007
10)木下幾晴,木下真樹子,上畠寧子,他.2cm未満の胃粘膜下腫瘍に対する粘膜切開直視下生検法の有用性.Gastroenterol Endosc 57:1509-1515, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら