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今月の主題 一度見たら忘れられない症例 主題
遺伝性びまん性胃癌
著者: 丸山保彦1 島村隆浩2 甲田賢治3 安田和世3 岩泉守哉4 椙村春彦5
所属機関: 1藤枝市立総合病院消化器内科 2藤枝市立総合病院外科 3藤枝市立総合病院病理診断科 4浜松医科大学臨床検査医学 5浜松医科大学腫瘍病理学
ページ範囲:P.1146 - P.1149
文献購入ページに移動患者は30歳代,男性.
健診の内視鏡検査で胃前庭部の褪色斑から生検され印環細胞癌が指摘されたため,当科に紹介され受診となった.既往歴に特記事項なく,父親がスキルス胃癌で28歳で死亡していた.血液検査では,血清H. pylori(Helicobacter pylori)抗体,便中抗原とも陰性で,腫瘍マーカーも正常範囲でPG(pepsinogen)1:65ng/ml,PG 2:12ng/ml,PG 1/2:5.4であった.
通常内視鏡検査では,胃体下部から前庭部にかけて萎縮のない背景粘膜の中に径5mm前後の褪色斑が散在していた(Fig.1).NBI(narrow band imaging)拡大内視鏡観察では,褪色斑は境界明瞭で背景の血管と比較して細く疎になり部分的に消失していた(Fig.2a,b).また,褪色斑の中には表面構造が不明瞭になり縮れたcorkscrew様の血管が観察されるものもあった(Fig.2c,d).8か所の褪色斑からそれぞれ生検を行いすべてでsigが検出された.
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