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文献概要
今月の主題 一度見たら忘れられない症例 主題
好酸球性胃腸炎
著者: 増永哲平1 辻国広1 土山寿志1
所属機関: 1石川県立中央病院消化器内科
ページ範囲:P.1155 - P.1157
文献購入ページに移動[症例1] 50歳代,女性.
心窩部痛を主訴に当院を受診した.既往歴・アレルギー歴・家族歴に特記事項はなかった.常用薬はなかったが,生理痛のためにロキソプロフェンの頓服を行うことがあった.血液検査ではヘモグロビン値9.8g/dlと貧血があったが,好酸球数を含めその他に異常所見は認めず,血清H. pylori(Helicobacter pylori)IgG抗体も陰性であった.
上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)では胃前庭部に浅い潰瘍が多発していたが(Fig.1a),他の消化管に異常はなかった.非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs ; NSAIDs)による消化性潰瘍を疑い,ボノプラザン20mg/dayの投薬を開始したところ,症状は速やかに改善し,1か月後のEGDで潰瘍の瘢痕化を確認した(Fig.1b).しかし,瘢痕部からの生検で高度の好酸球浸潤を認めたため(Fig.1c),好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis ; EGE)と確定診断した.3か月後にもフォローアップの内視鏡検査を施行したが,潰瘍の再燃は認めなかった.
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