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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻9号

2020年08月発行

文献概要

今月の主題 一度見たら忘れられない症例 主題

先天性十二指腸膜様狭窄症

著者: 吉永繁高1 小田一郎1 江郷茉衣1 阿部清一郎1 野中哲1 鈴木晴久1 斎藤豊1 永村良二2

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院内視鏡科 2長野中央病院内科(現 沖縄県立北部病院内科)

ページ範囲:P.1158 - P.1161

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臨床経過
 患者は40歳代,女性.検診にて十二指腸粘膜下腫瘍を指摘され脂肪腫と診断されたが,経時的に増大傾向を認めたため当院に紹介され受診となった.家族歴,既往歴に特記事項はなかった.当院初回の上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy ; EGD)では,前医で指摘された粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様隆起(Fig.1)が虚脱して舌状の形態を呈し(Fig.2a),その付着部のある十二指腸下行脚は盲端になっていた(Fig.2b).また,呼吸により隆起は前後に移動していた(Fig.2c,d).
 初回のEGDから2日後に超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS)を施行したが,その際の内視鏡検査においてSMT様隆起は消失していた(Fig.3a).初回時と同様に今回も十二指腸下行脚は盲端になっていたが乳頭側に瘻孔を認め(Fig.3b),同部に内視鏡を挿入すると正常の十二指腸下行脚を認めた(Fig.3c).EUSにて20MHz超音波細径プローブを用いて十二指腸下行脚から抜去しながらscanすると,粘膜下層を挟むように粘膜が存在する,いわゆる鏡面像を呈する5層構造の膜様構造物を認めた(Fig.3d).低緊張性十二指腸X線造影検査を患者に提案したものの拒否されたため,静脈麻酔を施行したうえでアミドトリゾ酸ナトリウムメグルミン液(ガストログラフイン®経口・注腸用)を用いて内視鏡下でのX線造影検査を行った.X線造影像にて十二指腸下行脚近位部に膜様,囊状の構造物を認め,乳頭側の欠損部より十二指腸下行脚への造影剤の流出を認めた(Fig.4).

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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