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文献概要
今月の主題 一度見たら忘れられない症例 主題
消化管GVHD
著者: 小村成臣1 小山恵司1 尾﨑隼人1 前田晃平1 大森崇史1 堀口徳之1 城代康貴1 鎌野俊彰1 大久保正明1 舩坂好平1 長坂光夫1 中川義仁1 柴田知行1 大宮直木1
所属機関: 1藤田医科大学医学部消化器内科学I
ページ範囲:P.1171 - P.1174
文献購入ページに移動患者は30歳代,女性.
10歳時に1型糖尿病を発症し,インスリンで加療するも慢性腎不全となり透析が導入され,30歳時に脳死膵腎同時移植が施行された.その後ステロイド,タクロリムス,ミコフェノール酸モフェチルなど内服.移植2年後に下痢が6週間持続するため当科に紹介され受診となった.大腸内視鏡検査にて,回腸末端にアフタの散在を認め(Fig.1a),盲腸には輪状傾向の幅の狭い潰瘍や瘢痕(Fig.1b),散在性に不整形びらん(Fig.1c,d)を認めた.盲腸からS状結腸にかけては血管透見消失像(Fig.1e〜g),orange peel appearanceが観察された.
生検病理組織学的所見は,盲腸から上行結腸では好酸球やリンパ球,形質細胞を主体とした高度の炎症細胞浸潤と陰窩の減少,萎縮がみられた(Fig.2a).残存する陰窩には再生性の増生がみられ(Ki-67陽性細胞増加),アポトーシスが散見された(Fig.2b).横行結腸から下行結腸では腺底部にポップコーン状のアポトーシス(γ-H2AX免疫染色陽性)がみられ,同様の高度炎症と陰窩の萎縮を認めた.Ziehl-Neelsen染色は陰性,DFS(direct fast scarlet)染色陰性,サイトメガロウイルス(cytomegalovirus ; CMV)感染陽性像はなく,病理組織学的に移植片対宿主病(graft-versus-host disease ; GVHD)に矛盾しない所見であった.以上より消化管GVHDと診断し,膵酵素製剤の補充療法を行ったところ,下痢は改善し退院となった.
参考文献
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