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文献詳細

雑誌文献

胃と腸55巻9号

2020年08月発行

早期胃癌研究会症例

NBI併用拡大観察が有用であった虫垂印環細胞癌の1例

著者: 尾石義謙1 小林広幸2 藤原美奈子3 岩﨑一秀1 瀬尾充1 松浦隆志4 本下潤一5 畠山定宗6

所属機関: 1国家公務員共済組合連合会浜の町病院消化器内科 2福岡山王病院消化器内科 3九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 4国家公務員共済組合連合会浜の町病院放射線科 5国家公務員共済組合連合会浜の町病院病理診断科 6畠山内科胃腸科クリニック

ページ範囲:P.1195 - P.1201

文献概要

要旨●患者は40歳代,女性.近医にてスクリーニング目的で施行された下部消化管内視鏡検査(TCS)で盲腸に異常を認め,生検の結果虫垂癌が疑われ当院に紹介となった.TCSでは,虫垂開口部周囲はSMT様に隆起し,表面は発赤調でイクラ様の顆粒状粘膜を呈していた.NBI併用拡大観察ではI型pit様の腺管開口部周囲の窩間部が開大し,虫垂開口部近傍では顆粒の一部にirregularな血管が観察された.造影CT検査で虫垂の腫大を認めるも,壁外への浸潤や転移を疑う所見はなく,腹腔鏡下右半結腸切除術が施行され,虫垂印環細胞癌と診断された.切除標本の病理組織像との対比から,拡大観察所見は盲腸上皮直下まで進展した虫垂癌を見ていたと考えられた.

参考文献

1)大腸癌研究会.Multi-Institutional Registry of Large Bowel Cancer in Japan Vol. 33 Cases treated in 2007. http://www.jsccr.jp/registration/pdf/Vol_33.pdf(2020年6月8日アクセス)
2)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,第9版.金原出版,2018
3)武藤瑞恵,市來一彦,武藤桃太郎,他.術前に診断された虫垂原発印環細胞癌の1例.Gastroenterol Endos 56:3365-3371, 2014
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12)原田真吾,土田知史,澁谷泰介,他.腹膜播種を伴った虫垂・S状結腸印環細胞癌に対する薬物療法の経験.癌と化療 42:1268-1270, 2015
13)小澤平太,森谷弘乃介,和田治,他.虫垂腫瘍の臨床統計.胃と腸 49:495-499, 2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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