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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻11号

2021年10月発行

今月の主題 咽頭表在癌の内視鏡診断と治療

トピックス

咽頭癌に対する経口的ロボット支援手術(TORS)の現状

著者: 藤原和典1

所属機関: 1鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野

ページ範囲:P.1445 - P.1447

文献概要

はじめに
 早期の咽喉頭癌においては,化学放射線治療に代わる治療として,手術支援ロボットを用いた経口的切除術(transoral robotic surgery ; TORS)が海外で徐々に普及し,良好な腫瘍学的成績や機能温存が報告されている1)
 本手術は,本邦においては,まず単施設での臨床研究から始まり2),その後,2013年から手術体制の整った鳥取大学,京都大学および東京医科大学の3施設において,先進医療B制度下での多施設臨床試験が行われた.その結果をもとに,2018年8月に頭頸部領域(経口手術)に適応拡大された.その後,日本頭頸部外科学会および日本耳鼻咽喉科学会の指導のもと,耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるロボット支援手術に関わる医師の資格基準,施設要件およびロボット支援手術機器の適正使用指針が定められ,運用が開始されている3).本稿では,TORSの実際と本邦におけるTORSの現状について紹介する.

参考文献

1)Weinstein GS, O'Malley Jr BW. Magnuson JS, et al. Transoral robotic surgery:a multicenter study to assess feasibility, safety, and surgical margins. Laryngoscope 122:1701-1707, 2012
2)Fujiwara K, Fukuhara T, Kitano H, et al. Preliminary study of transoral robotic surgery for pharyngeal cancer in Japan. J Robot Surg 10:11-17, 2016
3)藤原和典.頭頸部におけるロボット手術—頭頸部ロボット支援手術に関する教育プログラム.JOHNS 36:1653-1655, 2020
4)日本頭頸部癌学会(編).頭頸部癌診療ガイドライン,2018年版.金原出版,2017
5)National Comprehensive Cancer Network. NCCN Guidelines Version 3.2021 Head and Neck Cancers https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-detail?category=1&id=1437(2021年8月18日閲覧)
6)日本頭頸部外科学会事務局頭頸部ロボット支援手術委員会.耳鼻咽喉科・頭頸部外科におけるロボット支援手術実施までのプロセス https://www.jshns.org/uploads/files/about/92732984e70bc4e5d9be586da0e5ba77.pdf(2021年8月18日閲覧)
7)Tateya I, Koh YW, Tsang RK, et al. Flexible next-generation robotic surgical system for transoral endoscopic hypopharyngectomy:A comparative preclinical study. Head Neck 40:16-23, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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