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今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍 主題アトラス
大腸:炎症性腸疾患関連腫瘍
著者: 林宏行1 小野響子1 辰巳健志2
所属機関: 1横浜市立市民病院病理診断科 2横浜市立市民病院炎症性腸疾患科
ページ範囲:P.321 - P.324
文献購入ページに移動炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)に合併する癌の多くはIBD関連癌(colitis-associated cancerあるいはcolitic cancer;CAC)である.その前駆病変として,異形成(colitis-associated dysplasia;CAD,あるいは単にdysplasia)がある.まれに散発型腫瘍を合併することがあるので,IBDの所見がある部位に発生した腫瘍のうち,散発型ではないものをCAC/CADとする.
CADは細胞や組織構築に異型が乏しいことが多いため,病理診断が難しい.CADは基底膜を越えない非浸潤性のものと定義されており,異型度によりLGD(low-grade dysplasia)とHGD(high-grade dysplasia)に分類される1).また,異型度は総合的に判断される.具体的には,核腫大の程度,多形性・極性の有無,核偽重層の程度が基底膜側1/2を越えるかどうか,核分裂像の多寡などであるが,病理医間のCAD診断一致率は現状では低い2).
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