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今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍 主題アトラス
下部消化管を通じて:NET・NEC
著者: 伴慎一1 松嶋惇1 佐藤泰樹1 佐藤陽子1 藤井晶子1 小野祐子1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科
ページ範囲:P.344 - P.350
文献購入ページに移動腫瘍細胞が内分泌分化あるいは神経内分泌分化を呈する上皮性腫瘍(neuroendocrine neoplasm;NEN)は消化管の全長にわたって生じ1)〜6),まず総論的に以下に列挙する4点を理解しておく必要がある.消化管全体のNENにほぼ共通する事項であるが,本稿は下部消化管が対象であり,大腸癌取扱い規約(以下,規約)とWHO分類との比較として記載する.
①規約にあるように,消化管原発のNENは,低異型度細胞から成り全体として予後良好なカルチノイド腫瘍(carcinoid tumor)と,高異型度細胞から成り予後不良な内分泌細胞癌(endocrine cell carcinoma)に分けられ,両者は発生機序が異なる2つのentityと捉えたほうがよい7)8).この点に関して,ここ10年来,腫瘍の増殖能のみを指標としたNENのWHO分類との関係で若干の齟齬が存在したが,最新のWHO分類では前者がNET(neuroendocrine tumor)に,後者がNEC(neuroendocrine carcinoma)にそれぞれ対応すると考えてよい状況となっている8)9).ちなみに,WHO分類では“carcinoid”という用語は消化管の部位によって“acceptable”と記載されているところと1)〜4),“not recommended”と記載されているところがある5)6).本稿では以下,WHO分類のNETおよびNECの用語を使用して記載する.WHO分類でNETは,その増殖能に基づいてG1,G2,G3に分類される9).
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