文献詳細
文献概要
今月の主題 内視鏡医も知っておくべき病理診断リファレンス—下部消化管腫瘍 主題アトラス
下部消化管を通じて:GIST
著者: 伴慎一1 佐藤陽子1 松嶋惇1 佐藤泰樹1 藤井晶子1 小野祐子1
所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター病理診断科
ページ範囲:P.364 - P.370
文献購入ページに移動GIST(gastrointestinal stromal tumor)は基本的に消化管の固有筋層に連続するかたちで発生する間葉系腫瘍である1)〜3).その腫瘍細胞は,固有筋層間に存在し消化管蠕動運動のペースメーカー細胞として機能するCajal介在細胞様の分化を呈するとされている.消化管壁に認められる間葉系腫瘍として最も頻度の高い腫瘍であるが,その発生頻度は消化管の部位によって極めて異なる.ごくまれに腸間膜や後腹膜など消化管外発生例もみられるとされるが,消化管原発腫瘍の顕著な壁外性増殖例である可能性やそれらが転移性腫瘍である可能性を十分に鑑別する必要がある.
食道原発のGISTは,極めてまれである.GISTの過半数は胃に発生し,残りの多くが十二指腸を含む小腸に認められる.大腸原発のGISTはまれであり,筆者も結腸原発のGISTに関しては偶発的に認められたわずかな例を経験するのみである(Fig.1).ただし,直腸原発GISTについては,結腸よりも頻度が高い印象がある(Fig.2).ちなみに,虫垂原発のGISTも極めてまれであり,多くが偶発的な例とされる.
参考文献
掲載誌情報