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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻5号

2021年05月発行

増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021

食道 診断

色素内視鏡(ヨード/トルイジンブルー)

著者: 中村理恵子1 大森泰2

所属機関: 1慶應義塾大学医学部一般・消化器外科 2川崎市立井田病院内視鏡センター

ページ範囲:P.554 - P.555

文献概要

ヨード染色法
 0.5〜1.0%のヨウ素/ヨウ化カリウム溶液を用いて食道粘膜(重層扁平上皮)を染色する方法である.正常食道粘膜上層と有棘細胞層内にはグリコーゲンが含まれており,撒布されたヨウ素が細胞内グリコーゲンと反応し発色する現象(ヨウ素・デンプン反応)を利用した染色法である.正常食道粘膜は茶褐色に染色されるが,癌細胞はグリコーゲンを含まないために黄白色を示す領域となる.このような黄白色領域をヨード不染帯と言う.この現象は表在型食道癌を診断する上で重要である(Fig.1a).
 しかし,上皮欠損を示す食道炎などの炎症性変化,萎縮などの上皮菲薄部,異所性胃粘膜などでもヨード不染帯となり,注意が必要である(Fig.1b).上皮全層が癌細胞である病変は通常観察で淡い発赤を示すことが多く,ヨード染色では明瞭なヨード不染帯となる.染色直後は黄白色不染帯であるが,数分後に淡いピンクの色調変化が不染部に起こる.この現象をPC(pink-color)signと呼び,粘膜内癌では高頻度に認められる1)(Fig.1c).長径5mm以上・不整形の不染帯でPC sign陽性であれば癌である可能性が極めて高く,多発ヨード不染帯からの表在型食道癌拾い上げ診断に極めて有用である.

参考文献

1)大森泰,横山顕.危険なヨード不染帯所見—Pink Color Signの検討.Gastroenterol Endosc 43(Supple 2):1613, 2001
2)Shimizu Y, Omori T, Yokoyama A, et al. Endoscopic diagnosis of early squamous neoplasia of the esophagus with iodine staining:high-grade intra-epithelial neoplasia turns pink within a few minutes. J Gastroenterol Hepatol 23:546-550, 2008
3)小山高司,浮田実三,西村忠夫,他.トルイジンブルー超生染の癌診断への応用—染色機序について.耳鼻臨床 67:885-888, 1974
4)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.食道表在癌の深達度診断—通常観察と色素内視鏡.胃と腸 46:650-663, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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