文献詳細
増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
胃 治療
文献概要
内視鏡的ポリペクトミーは,広基性病変では取り残しや術後合併症を考慮し禁忌とされてきた.一方,胃腺腫内癌やポリープ癌は従前の生検診断法では確定診断が困難であった.そこで筆者らは1975年,腺腫や0-IIa型を内視鏡的切除しうるEDSP(endoscopic double snare polypectomy)を考案した.本法切除第1例は術前診断では胃腺腫であったが,切除回収標本病理診断が胃腺腫内癌であったことから意を強くして,腺腫・0-IIa型の切除例を重ねた.本法は全病巣の一括切除・回収,かつ回収切除標本の病理組織学的検索による深達度や断端・脈管の癌浸潤診断も可能である.本法での治療の結果,患者の生活の質(quality of life ; QOL)の維持が可能なことが確認されたので,外科手術に代わる治療法として1980年の第35回胃癌研究会1),1981年の第32回内視鏡関東地方会2)で報告した.
参考文献
1)竹腰隆男,田尻久男,大橋計彦,他.胃生検とpolypectomy標本診断の対比検討—Endoscopic double snare polypectomyの有用性について.日癌治療会誌 16:395, 1980
2)竹腰隆男,高木国夫.胃異型上皮—診断の実態と臨床的対応.Pro Dig Endosc 19:21-27, 1981
3)田井中憲三,竹腰隆男,藤井彰,他.胃癌内視鏡治療の適応の検討.Gastroenterol Endosc 28:3215, 1986
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