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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻5号

2021年05月発行

増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021

胃 治療

G-POEM

著者: 井上晴洋1

所属機関: 1昭和大学江東豊洲病院消化器センター

ページ範囲:P.660 - P.660

文献概要

 胃における経口内視鏡的括約筋切開術(gastric per-oral endoscopic myotomy ; G-POEM)は,胃弛緩症(gastroparesis)に対する内視鏡治療である.胃の排泄遅延を伴う症例で,胃蠕動運動亢進の薬剤治療抵抗性のものが適応となる.一次性(idiopathic),二次性があり,糖尿病に関連して起こる二次性のものが多いとされる1).本邦では症例は比較的少ないのに対し,米国では多数の患者を認める.gastroparesisの診断には胃の排泄遅延の確認が必要である.バリウム透視,胃内圧検査やシンチなど種々の検査法があるが,最も簡便な診断法は,幽門輪を20mmバルーンで拡張してみて,胃膨満感などの症状が改善するかをみる方法である.一時的な改善をみたら,幽門括約筋の切開の効果が期待できると推定される.
 G-POEMは,食道アカラシアに行われるPOEM(経口内視鏡的筋層切開術)を胃幽門括約筋に対して行う術式である.幽門輪から5cm手前の幽門部大彎で粘膜下局注の後2cmの粘膜切開をおく.粘膜下層に入り,固有筋層の表面に沿って粘膜下層トンネルを作製する.粘膜下トンネル内で幽門輪に到達すると,小円弧状の筋層の表面が観察される.幽門輪の2cm手前から筋層切開を開始する(Fig.1).内輪状筋切開を行う.切開された幽門括約筋は約1cm径の輪状の切離面として認識される.一方,十二指腸球部側の筋層は急に薄くなることから容易に鑑別できる.十二指腸球部側の筋層を切開する必要はない.治療後,幽門輪が弛緩し,スコープの通過が容易であることを確認する.粘膜切開部は,クリップで閉鎖する.

参考文献

1)Grover M, Farrugia G, Stanghellini V, et al. Gastroparesis:a turning point in understanding and treatment. Gut 68:2238-2250, 2019
2)Khashab MA, Stein E, Clarke JO, et al. Gastric peroral endoscopic myotomy for refractory gastroparesis:first human endoscopic pyloromyotomy(with video). Gastrointest Endosc 78:764-768, 2013
3)Spadaccini M, Maselli R, Chandrasekar VT, et al. Gastric peroral endoscopic pyloromyotomy for refractory gastroparesis:a systematic review of early outcomes with pooled analysis. Gastrointest Endosc 91:746-752, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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