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増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021 十二指腸 治療
LECS
著者: 吉水祥一1 布部創也2
所属機関: 1がん研有明病院上部消化管内科 2がん研有明病院胃外科
ページ範囲:P.681 - P.681
文献購入ページに移動十二指腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)は,十二指腸壁の薄さや狭い管腔内での操作を要するという問題があるため,高難度の手技である.十二指腸ESDは術中穿孔だけでなく,治療後に潰瘍底が膵液・胆汁に曝されることで起こる遅発性穿孔の発生も大きな問題であり,近年では一部の専門病院のみでの施行に限られている.一方,Hikiら1)は腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopic and endoscopic cooperative surgery ; LECS)を考案し,胃粘膜下腫瘍に対して必要最小限の切除範囲で腫瘍の完全切除が得られる術式であることを報告してきた.この術式を応用することで,十二指腸腫瘍の局所切除を必要最小限の切除範囲で済ませることができ,腹腔鏡側からの縫合により切除部を補強することで遅発性穿孔を回避しうる利点がある2).D-LECS(LECS for duodenal tumors)は,2020年度の診療報酬改定により,“腹腔鏡下十二指腸局所切除術(内視鏡処置を併施するもの)”として保険収載された.
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