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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻5号

2021年05月発行

文献概要

増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021 大腸 診断

通常内視鏡(炎症)

著者: 清水誠治1

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲:P.720 - P.721

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内視鏡の適応と前処置
 腸の炎症性疾患は極めて多彩であり,症候や病歴のみで鑑別することは困難である1).診断にはさまざまな検査を組み合わせる必要があり,内視鏡検査は血便や下痢がみられる場合に実施されることが多い.特に特発性炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)の診断においては,内視鏡検査が必須である.便潜血陽性精査の内視鏡観察で病変が発見されることもある.
 検査に際して腸管洗浄液による前処置を行うことが望ましいが,必ずしも全大腸を観察する必要はなく,前処置は排便状況,全身状態,緊急性,必要な観察範囲などを考慮して判断する.下痢が高度な場合や直腸に病変が存在する場合には前処置なしでも観察可能である.アメーバ性大腸炎では腸管洗浄液により付着している壊死物質が脱落し,診断が困難になる場合がある.病変部位や範囲を把握する目的では超音波やCTも有用である.腸管穿孔では内視鏡が禁忌であるが,中毒性巨大結腸症には前処置なしで最小限の送気にとどめれば下部大腸の観察が可能である.

参考文献

1)清水誠治,富岡秀夫,高島英隆,他.腸炎の診断プロセス.消内視鏡 29:12-19, 2017
2)清水誠治,横溝千尋,石田哲士,他.炎症性腸疾患の鑑別診断.Gastroenterol Endosc 56:3-14, 2014
3)清水誠治,小木曽聖,富岡秀夫,他.潰瘍性大腸炎,クローン病,過敏性腸症候群と鑑別を要する疾患—腸管感染症を中心に.日本大腸肛門病会誌 71:494-505, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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