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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻5号

2021年05月発行

文献概要

増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021 大腸 診断

EUS

著者: 斉藤裕輔1 稲場勇平1 藤谷幹浩2

所属機関: 1市立旭川病院消化器病センター 2旭川医科大学内科学講座消化器・内視鏡学部門

ページ範囲:P.734 - P.736

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 近年の早期大腸癌1)および大腸粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)発見の増加と内視鏡切除術〔内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection ; EMR),内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)〕の普及により,大腸(上皮性および粘膜下)腫瘍に対する術前診断が,より重要となっている.大腸腫瘍に対する精密検査として,注腸X線造影検査,通常内視鏡検査,拡大内視鏡検査などがあるが,超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography ; EUS),高周波超音波細径プローブ検査(high-frequency ultrasound probe ; HFUP)は2)これらの検査とは異なり,病変の病理割面像に近い断層像が得られ,その画像に客観性を有するという点で他にはない利点を持つ検査法である.早期大腸癌はHFUPのよい適応であり,術前にTis・T1a癌と診断して内視鏡的切除を行うか,T1b癌と診断して外科手術を行うかの鑑別に重要である.一方,大腸SMTは病変の主座が粘膜下層であり正常粘膜で覆われているため,内視鏡検査のみでは性状診断は困難であり,EUSの併用が極めて有用である.「大腸ポリープ診療ガイドライン2020」3)においても,EUSは早期大腸癌の深達度診断およびSMTの性状診断に有用であり,併用が推奨されている.

参考文献

1)Saitoh Y, Waxman I, West AB, et al. Prevalence and distinctive biological features of flat colorectal adenomas in a North American population. Gastroenterology 120:1657-1665, 2001
2)Saitoh Y, Obara T, Einami K, et al. Efficacy of high-frequency ultrasound probe for the pre-operative staging of invasion depth in flat and depressed type colorectal tumors. Gastrointest Endosc 44:34-39, 1996
3)日本消化器病学会(編).大腸ポリープ診療ガイドライン2020,改訂第2版.南江堂,pp 116-120, 2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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