文献詳細
増刊号 消化管診断・治療手技のすべて2021
大腸 治療
文献概要
大腸ステント留置術の適応は,原発性および外因性の大腸悪性狭窄で,腸閉塞発症後はできるだけ早期に施行する.絶対的な禁忌は穿孔を伴う症例であるが,その他にも,①強い炎症や瘻孔を伴っている症例,②肛門縁に近い(歯状線より5cm以内)症例,③狭窄部が複数の症例,④bulkyな腫瘍で狭窄が長大かつ複雑な症例,などは適応を慎重に検討する必要がある.また,大腸ステントは常に偶発症が起こる可能性を伴うため,予防的な留置は行わない1).症例の閉塞程度の評価は大腸ステント安全手技研究会が考案したCROSS(colorectal obstruction scoring system)を用いて行う.術前減圧(bridge to surgery ; BTS)目的でCROSS score 0〜1,緩和(palliation ; PAL)目的でCROSS score 0〜2が適応の目安となる(Table 1)2).狭窄部をスコープが通過可能な症例は,基本的に適応外である.
手技は必ず透視下で施行し,CO2送気と送水システムは必須である.病変は屈曲部にあることが多いため,先端硬性部が短く細径のスコープが有用である.ステントは,BTS,PALともにuncovered typeが推奨されており,axial forceが小さくradial forceが十分で,かつデリバリーシステムが9Frのものが使いやすい.ステント長は狭窄長より両側1.5〜2cm程度長いものを選択する1).
手技は必ず透視下で施行し,CO2送気と送水システムは必須である.病変は屈曲部にあることが多いため,先端硬性部が短く細径のスコープが有用である.ステントは,BTS,PALともにuncovered typeが推奨されており,axial forceが小さくradial forceが十分で,かつデリバリーシステムが9Frのものが使いやすい.ステント長は狭窄長より両側1.5〜2cm程度長いものを選択する1).
参考文献
1)van Hooft JE, Veld JV, Arnold D, et al. Self-expandable metal stents for obstructing colonic and extracolonic cancer:European Society of Gastrointestinal Endoscopy(ESGE)Guideline—update 2020. Endoscopy 52:389-407, 2020
2)大腸ステント安全手技研究会.CROSS:大腸閉塞スコア.https://colon-stent.com/001_mainpage_ja.html(2021年3月9日閲覧)
3)Kuwai T, Yamaguchi T, Imagawa H, et al. Factors related to difficult self-expandable metallic stent placement for malignant colonic obstruction:a post-hoc analysis of a multicenter study across Japan. Dig Endosc 31:51-58, 2019
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