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文献詳細

雑誌文献

胃と腸56巻6号

2021年05月発行

文献概要

今月の主題 上部消化管非腫瘍性ポリープの内視鏡所見と病理所見 主題症例

胃IFPの経過観察例

著者: 中尾栄祐1 平澤俊明1 河内洋2 渡海義隆1 並河健1 吉水祥一1 堀内裕介1 石山晃世志1 由雄敏之1 土田知宏1 藤崎順子1

所属機関: 1がん研究会有明病院上部消化管内科 2がん研究会有明病院臨床病理センター病理部

ページ範囲:P.875 - P.879

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要旨●患者は70歳代,女性.検診の上部消化管X線造影検査で胃に異常所見を指摘され,EGDを施行した.胃前庭部大彎に15mm大の急峻な立ち上がりのくびれを有するSMT様隆起を認めた.隆起の頂部に発赤陥凹を有しており,同部位から生検を施行したが診断には至らなかった.3年後のEGDで増大傾向であったため,診断的治療としてESDを施行し,胃IFPと診断した.IFPは生検により確定診断が得られることは少なく,増大傾向を示すなど悪性腫瘍の可能性が否定できない場合には,診断的治療として内視鏡治療あるいは外科治療を考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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