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今月の主題 早期大腸癌内視鏡治療の新展開 主題
大腸T1癌内視鏡切除標本の正しい取り扱いと病理組織診断—SM浸潤度評価のポイントとピットフォール
著者: 味岡洋一1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
ページ範囲:P.1069 - P.1075
文献購入ページに移動要旨●SM浸潤度は粘膜筋板を基準に判定されるが,その走行が同定・推定できない病変をどのように選別するかが,浸潤度評価で最も大切なポイントである.デスミン染色でSM浸潤領域に粘膜筋板が認められた場合でも,α-SMA染色によりその周囲にdesmoplastic reactionが認められる場合は,SM浸潤度判定の再現性を担保し,過小評価を避けるため,粘膜筋板の“変形あり”として,SM浸潤度は病変表層から測定する.現行の有茎性pT1癌のSM浸潤度判定は再現性に問題があり,“頭部浸潤”と“茎部浸潤”の2分法への変更が望ましいと考えられるが,“頭部”と“茎部”の境界線の定義を明確化する必要がある.
参考文献
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