胃と腸56巻9号

2021年08月発行

今月の主題 「胃と腸」式 読影問題集—考える画像診断が身につく 読影問題集

大腸 Case 3

著者： 清水誠治¹

所属機関： ¹大阪鉄道病院消化器内科

ページ範囲：P.1220 - P.1223

臨床情報
23歳，女性．既往歴：2回の帝王切開．現病歴：1か月ほど前から軟便，粘血便が出現し，排便回数は徐々に増加して1日数行の下痢になった．また，時々腹痛も自覚するようになった．身体所見：身長151cm，体重50kg，体温37.2℃．腹部診察所見：異常なし．臨床検査成績：WBC 7,900/μl，RBC 494万/μl，Hb 13.1g/dl，Ht 40.5%，Plt 29.5万/μl，TP 7.7g/dl，Alb 4.3g/dl，肝腎機能・電解質：異常なし．CRP 1.23mg/dl，便細菌培養：病原菌（−），便中CDトキシン（−）．内視鏡所見：前処置なしでS状結腸までの内視鏡検査を行ったところ，15cmまでの範囲に病変がみられた（Fig.1）．生検病理組織学的所見：直腸粘膜生検では粘膜固有層全層に高度の形質細胞と好中球の浸潤がみられ，陰窩炎も散見された．上皮のびらんとともに腺管には軽度の配列異常がみられたが，杯細胞は保たれていた（Fig.2）．

参考文献

1）池谷賢太郎，丸山保彦，景岡正信，他．クラミジア直腸炎．胃と腸　43：1663-1669, 2008

2）松井佐織，廣吉康秀，阿南会美，他．クラミジア直腸炎の内視鏡像の検討．Gastroenterol Endosc　56：279-285, 2014