胃型形質を示す非乳頭部十二指腸腺腫・癌の臨床病理学的特徴
著者:
清森亮祐
,
蔵原晃一
,
大城由美
,
平田敬
,
池上幸治
,
原田英
,
原裕一
,
江頭信二郎
,
水江龍太郎
,
南川容子
,
田中雄志
,
南一仁
,
鳥巣剛弘
,
八尾隆史
ページ範囲:P.1563 - P.1575
要旨●当科で内視鏡的ないし外科的切除により病理組織学的に非乳頭部十二指腸腺腫・癌と確定診断された85例94病変のうち胃型形質と診断された32例35病変を対象とし,その臨床病理学的特徴を遡及的に検討した.32例35病変の平均年齢は72.2歳で,男性25例,女性7例であった.35病変は十二指腸球部25病変(71.4%),下行部乳頭口側6病変(17.1%)と乳頭より近位側の十二指腸に好発し.肉眼型はSMT様隆起が20病変(57.1%),0-I型が14病変(40.0%)と丈の高い病変がほとんどであった.白色化は35病変中6病変(17.1%)に認めるのみであった.術前に生検を施行した26病変のなかで評価可能であった25病変中22病変(88.0%)で病理組織学的に胃型腫瘍の可能性が示唆されていた.切除標本を検討すると病理組織学的に病変表面には胃腺窩上皮への分化を示す細胞から成る領域を35病変中34病変(97.1%)に認めた.35病変は病理組織学的に腺腫26病変,NUMP(neoplasms of uncertain malignant potential)3病変,腺癌6病変に分類された.NBI併用拡大観察では,NUMPと癌は,腺腫と比較してirregular MS pattern, irregular MV patternをそれぞれより高頻度に認めた.腺癌は全例,高分化管状腺癌で,M癌2例,SM癌4例であった.35病変は優位形質から分類すると,MUC5AC優位型(foveolar type)15病変(腺腫13病変,NUMP 2病変),MUC6優位型(pyloric gland type)18病変(腺腫13病変,NUMP 1病変,腺癌4病変)と分類不能型2病変(腺癌2病変)に分類された.MUC6優位型でより高頻度にSMT様の形態を呈していた.